このブログでは、すい臓がんを完治するまでの、知識と経験を共有していきます
【闘病記07】フォルフィリノックス(mFOLFIRINOX)療法と副作用
こんにちは、チコです。
前回は、わたしが自分の病気を受け入れるまでの心の動きをお話ししました。
今回は、初めての抗がん剤投与から、その後の副作用、そして抗がん剤の効果までをお話しします。
抗がん剤治療スタート
2019年3月11日からの入院で
いよいよ、がんの治療がはじまりました。
フォルフィリノックス(mFOLFIRINOX)療法
わたしの受けた治療は、フォルフィリノックス(mFOLFIRINOX)療法。
この治療は、3種類の抗がん剤に、1種類の増強剤を足したお薬をつかうというものです。
- 5-FU / フルオロウラシル(抗がん剤)
- イリノテカン(抗がん剤)
- オキサリプラチン(抗がん剤)
- レボホリナート(増強剤)
上記4つのお薬を、3日間かけ、点滴で投与していきます。
入院はにがて
初回は、経過観察の必要性から、入院しての投与となりました。
人生3度目の入院です。
ちなみに、1回目と2回目は、がんの検査入院。
そして、今回いよいよ、抗がん剤投与のための入院となったのでした。
入院は本当に苦手です。
夜は眠れないし、日中も、具合が悪いわけではないため、なんだか場違いな気がして落ち着きません。
入院中に友達になったMさん
そんな私の緊張をほぐしてくれたのが、同室に入院していたMさんでした。
彼女は、同じ膵がんで年齢も近かったため、院内のカフェで食事をしたり
お喋りをしたり、よく一緒に過ごしました。
チコちゃん、大丈夫よ
彼女はいつも、この言葉で、わたしを励ましてくれました。
お互い、これまで歩んできた山あり谷ありの人生を語り合ったり、将来の夢を話したり。
あー、今年もあっという間に夏が来ちゃう。
花火大会、行きたいなー。
ね、ね、チコちゃん一緒に行かない?
Mさんのこんな誘いから、
私たち2人は、一緒にこの夏の花火大会へ行く約束をしました。
はじめての抗がん剤、恐怖に怯える
そんな病院での楽しい出来事とは裏腹に、待っていた恐怖の一大イベント
抗がん剤投与の時間がやってきました。
チコさーん。じゃあ、これからお薬を入れていきましょうねー
防護服に身を包んだ2人の看護師さんが、私のもとにやってきました。
あ、看護師さん。
はい、抗がん剤ですね。
あれ、でも何でこんな
仰々しい格好なんですか?
あー、ばく露防止のためですよ
抗がん剤は、看護師のばく露や拡散を防ぐ必要があります。そのため、手袋やマスク、ガウン、ゴーグルといった防護具の使用が推奨されるのです
参考:日本看護協会
そんな完全防備の看護師さんたちを見て、よりいっそう、緊張と恐怖心が高まります。
どくん どくん どくん ・・・
鼓動が速くなり、まさに心臓が飛び出しそうになっていくのを感じます。
ふー はー ふー・・・
だめだ、緊張で苦しいよー
私の激しい緊張をよそに、看護師さんは手際良く作業を進めていきました。
はい、じゃあ、お薬入りまーす
ひょえーっ!
冗談抜きで、わたしの心の悲鳴です・・
投与開始から1時間ほどは、ドキドキが止まりませんでしたが
その後、自分の体に何も起きていないことを知ると、しだいに安心してゆくのでした。
安堵と退院
そんな大きな心の動揺がありつつも、初の抗がん剤投与は無事に終了。
退院する日がやってきました。
今回の入院で、お友達になったMさんにご挨拶。
じゃあ、チコちゃん、お互い落ちついたら、会おうね!
あ、そうそう、夏の花火も楽しみにしてる!
うん、私も楽しみにしてる!また連絡するねっ!
初めての抗がん剤が無事に終わったことに安堵し
病院からの帰りは清々しい気分でした。
途中、銀座の歩行者天国をぶらぶらしたり
浜離宮庭園での散歩を楽しんだり
ゆっくりと家路につきました。
副作用あらわる
初回の入院が終わると、2回目からは通院での治療となりました。
白血球減少で治療中断
フォルフィリノックス(mFOLFIRINOX)療法の投与は、2週間を一区切りとして行われます。
私の場合、初回が2019年3月12日だったため
次は、3月27日に予約をしていました。
3月27日
3月27日 AM8:30 病院へ着くと、まずは血液検査。
検査結果と主治医の受診まで、1時間半ほど待ったでしょうか。
チコさん、こんにちは
体調はどうですか?
あー、先生。
副作用もあまり感じなかったです。楽勝ですね♪
あ、そう、それは良かった。
でもね、自覚症状はなくても、すでに
副作用は出てるんだ
え、どういうことですか?
血液検査の結果、白血球の値が低くてね・・
申し訳ないけど、今日は抗がん剤は打てない・・
えー、まだ始まったばかりなのに!?
そう、この日、白血球の一つである好中球(こうちゅうきゅう)の値が、1410/μlと、投与基準の1500/μlを下回っていたのでした。
白血球は大きく以下の5種類に分類できます。
- 好中球(こうちゅうきゅう)
- リンパ球
- 好酸球(こうさんきゅう)
- 好塩基球(こうえんききゅう)
- 単球
その中の好中球は、細菌などの病原体から身体を守る役割があり
1000/μl以下になると感染症にかかる確率が上がると言われています。
好中球が、1500以上だと打てるんだけと、1410なんだ。惜しかったね・・
いやいや、惜しいとか、そういう問題じゃなくー
もうー、最初からスキップてどういうこと??
序盤から出鼻をくじかれ、不安はありましたが、
とりあえず、2日後の3月29日に再挑戦することになりました。
3月29日
ところが!
・・・
この日も、好中球が基準値より低く、あえなく撤退。
・・今日も治療できないんですか?
今度は3日空けて、4月1日に再々挑戦。
4月1日
残念ながら、この日も、またしても基準値より低く・・
更に、好中球の値が、感染症の確率が高くなる1000以下に下がってしまいました。
好中球を上げるジーラスタを打ちましょう
この日は、あまりに下がった好中球を上げるため
ジーラスタという注射を打ち、2日後にまた受診することに。
そして、迎えた4月3日。
4月3日
ジーラスタの効果で、好中球は急上昇。
ようやく、第2回目のフォルフィリノックス治療を受けることができたのでした!
ぱちぱちぱちー
骨髄抑制で、なんと3回も抗がん剤を延期
なんと・・・
第2回目の抗がん剤は、延期すること3回。
4回目の挑戦にして、ようやく打てるようになったわけです。
血液検査の結果、好中球が基準に届かず
- 白血球:2900/μl(基準値3300~8600/μl)
- 好中球:1410/μl(投与基準1500/μl~)
血液検査の結果、好中球が基準に届かず
- 白血球:2500/μl(基準値3300~8600/μl)
- 好中球:1120/μl(投与基準1500/μl~)
血液検査の結果、好中球が基準に届かず
- 白血球:2500/μl(基準値3300~8600/μl)
- 好中球:910/μl(投与基準1500/μl~)
好中球がかなり低いため、ジーラスタという好中球を上げる注射を打ち、帰宅
血液検査の結果、好中球が基準値を満たし、投与できた
- 白血球:9100/μl(基準値3300~8600/μl)
- 好中球:6610/μl(投与基準1500/μl~)
第1回目の治療から、23日目のこと。(本来なら14日)
フォルフィリノックス、おそるべし・・
幸先よくないなあ・・
次々あらわれる副作用
どんなお薬でも副作用はありますが
フォルフィリノックス療法においても、たくさんの副作用の可能性があげられています。
フォルフィリノックスの副作用
フォルフィリノックスの副作用として、一般的に言われているものは
自覚症状がないもの
- 骨髄抑制(白血球、赤血球、血小板の減少など)
- 肝機能障害
- 腎機能障害
など
自覚症状があるもの
- 脱毛
- 倦怠感
- 食欲不振や吐き気
- 下痢や便秘
- 末梢神経障害
- 口内炎
- 発熱
- 発疹
など
これら出現する症状は、体質や体力、投与からの時間や、投与回数によっても異なってきます。
私におきた副作用
私の場合、最初にくらった大きな一発が、骨髄抑制でした。
血液の成分を作る組織「骨髄」がダメージを受けると、前述した私の例のように、白血球や好中球の数が少なくなります。
体を守る重要な役割をもつ白血球が少なくなれば、抗がん剤も中断せざるをえません。
骨髄抑制や肝機能の低下など、自覚症状のない副作用はすぐに現れましたが、
吐き気や、しびれ、倦怠感などの自覚症状のある副作用は、1回目はそれほどひどくなく
2回、3回と、抗がん剤の回数を重ねるたび、徐々に強くあらわれるようになりました。
びっくりするような体の変化もありました。
花粉のシーズンだったためマスクをして外を歩いていたところ、
マスクかぶれを起こし、突然の赤い発疹とともに、猛烈な痒さに襲われたのには驚きました。
突然やってくるのは、蕁麻疹だけではありません。
めまいや倦怠感で、急に具合が悪くなることから、1人での外出もままならなくなりました。
家では、食器などの洗い物ができなくなってしまいました。
水に触れていると、手が冷たく痺れ、皿を落としてしまうのです。
結局、これを機に、食洗機を買うことに。
そして、抗がん剤の副作用として多くの人がイメージする、脱毛。
これは、本当に、見事に髪の毛が抜けました。
治療開始1ヵ月後くらいだったでしょうか。シャワーを浴びていると、バサバサと抜け、手の指に絡みついてきました。
よく映画でみる、抜けた自分の髪の毛に、わんわん泣く、そんなドラマティックな展開はありませんでした。
それよりも、鏡に映る自分の滑稽な姿に面くらい
家中、歩くだけで散らばり続ける髪の毛の掃除にてんやわんや。
はあー・・・
副作用や対処法など、また別記事でまとめてご紹介します。
呼吸が止まると思った瞬間・・
さて、当時の副作用で、もっとも辛かったのが、倦怠感です。
これまで味わったことのない、異常な怠さ。
ある日、ベッドの上で身動きがとれず、呼吸をするのさえ苦しくなりました。
ぼおーっと遠のく意識、浅くなる呼吸・・・
あー、もう少ししたら、わたし呼吸が止まっちゃうかも・・
そう感じた私は、亡くなった母に
ねー、お母さん。
わたし、このまま お母さんのもとへ行くのかな?
と聞いてみます。
すると
スーと、一瞬、母が現れたような気がしました。
そして、なんと次の瞬間
呼吸が戻り、身体がふっと軽くなり、身動きが取れるようになったのです。
もちろん、気のせい、偶然の出来事、
だったのかもしれません。
でも、私にとっては、亡くなった母をとても身近に感じることができた
ステキな瞬間でした。
・・・
この時期の学び – ケセラセラ、なるようになる
フォルフィリノックス療法が始まってからは、副作用との闘いで
正直、この時期から何かを学ぶという状態ではありませんでした。
◇ ◇ ◇
病気になる前は、体調が優れなければ、体調を良くしようと努力しましたが、
抗がん剤からくる体調不良は、自分で努力してどうにかなるほど甘くはなかった・・・
ついには、呼吸をするのさえ辛いほどの倦怠感に襲われ、観念しました。
なるようにしかならない
そして、亡くなった母に「わたしも、そちらへ行くのか?」と話しかけてみたところ、とつぜん身体が動くようになった・・
お母さん、わたし、もうすぐお母さんのいるところに行くのかな?
◇ ◇ ◇
実際のところ、なぜ急に体調が好転したか、理由は分かりませんが
なるようにしかならない
と開き直りの境地に至ったことが、身体へも影響したのでは?と感じています。
おわりに
今回は、抗がん剤治療と副作用についてお話ししました。
次回は、この抗がん剤治療中の生活についてお話しします。
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