このブログでは、すい臓がんを完治するまでの、知識と経験を共有していきます
【闘病記14】退院後の生活・気持ち・体調・介護サービス
こんにちは、チコです。
前回は、一般病棟に移動してから退院までの出来事をお話ししました。
もっとも複雑で難易度の高い消化器系 手術の1つ『膵頭十二指腸切除術』を乗り切り、
夜も眠れぬ痛みに耐え、退院までこぎつけた。
今回は、この退院直後の様子を、お話ししたいと思います。
退院!大手術を乗り越え、感じた気持ち
2019年12月21日(金) いよいよ退院!
人生はじめての大手術を乗り越え、退院したときに感じた気持ちを記しておきたいと思います。
解放感
入院、はあー・・長かったー!
12月4日に入院したので、18日間の入院生活 。
ちなみに、私の受けた手術『膵頭十二指腸切除』の一般的な入院期間は3〜6週間なのだそう。
なので、平均よりは少し短めな入院生活でしたね。
先生にも「経過も順調だし、退院までも早くて良かったね!」と言われましたが・・
私にとっては、、、
いやー、本当に長く感じた入院でした。
だからこその、この退院の解放感!
看護師Tさんにもらった「奇跡の患者」という言葉を信じて、回復に努めようと誓うのでした。
達成感
今回の手術は、人生初(そしてぜひ最後にしたい)の、かなり壮絶な体験となりました。
それだけに、この危機を乗り越えられた事に対し、ある種の達成感もあり
また、喜びもありました。
がんの塊が身体からなくなった、という喜び。
正直言うと、手術をする前は
なにも大きな負担のある手術をしなくとも・・
がんと共存するという選択肢も選べるよね?
と考えたこともありました。
健康な人でさえ、毎日5000個ものがん細胞ができては消えている
なにも根治にこだわる必要はない
共存できればいい
ってね。
でもね
「がんは取りきれましたよ」
大丈夫、がんは取りきれましたよ
と聞けば
やっぱり嬉しさがこみ上げてくるのです。
私は、母の身体からボール大に飛び出し、彼女の命を奪っていった「がんの塊」を忘れることができません
だからこそ、そんなトラウマでもある「がんの塊」が、私の身体からなくなった時、喜ばずにはいられませんでした
また、術後の壮絶な集中治療室での体験を乗り越えられたことも大きな喜びでした。
一方、この時、腹痛が消えないことへの不安もありました。
退院直後(2019年12月21日)から術後の抗がん剤治療開始(2020年1月15日)までの体調を振り返ります。
退院直後の体調
退院直後は、気を張っていたこともあり
術後とは思えないほどの体調の良さに、びっくりする時もありました。
そうかと思うと、突然具合が悪くなる。
そんな不安定な体調がつづくなか、特につらかった症状3つがこれ。
- 下痢
- 腹痛
- 倦怠感
下痢
手術直後から始まった激しい下痢。
一旦おさまったように思えたものの、やはり下痢は続きました。
ただ、これまた症状が安定しない。
1日何度もトイレにこもらなければならない下痢がつづいたかと思うと
手術前と同様の健康的な便に戻ったり
そうかと思えば、お腹がパンパンに張り、身動きできないほど苦しくなったり。
大きな開腹手術へのストレス、腹水の貯留、腸の神経切除の影響、など
さまざまな要因から、仕方がなかったのかもしれません。
病院で、利尿剤や下痢止めの調整をしてもらいながら過ごしました。
腹痛
下痢と同様につらかったのが、腹痛です。
当初、腹痛を抑えるため服用していたのは、トアラセット、ブスコパン、ロキソニン。
これらの薬では、痛みをごまかすことはできても、100%鎮めることは難しく(私の場合)
痛みで、日中もベッドから出られない、夜は眠れない、といった日々が続きました。
また、痛みは腹部だけにとどまらず、腰や背中まで広がり
ときには肩、そして、なぜか足にまで、激痛が走ることもありました。
倦怠感
日によって波はありましたが、倦怠感も相当なものでした。
ある日の私の病状メモです。
朝から倦怠感が半端なく、起きてるのがつらい
下痢やお腹の痛みも相変わらず
痛み緩和に温パックでお腹を温めようにも、その温パックをレンジで温める行動すら、ダルくて難しい
(> <)
蕁麻疹まで出てきた、痒い・・とりあえずアレロックを飲んだ
午後から、福祉用具の人、看護師さん、ヘルパーさんが来るけど、対応できるか心配・・玄関のドア開けるのさえつらい・・涙
いま読み返してみると、あまりにポンコツで
笑ってしまうほど、弱っていましたね・・w。
介護サービスの利用
私は、がんと診断されると、早い段階で、区の介護保険課に介護サービスの相談に行きました。
そして、介護サービスを利用するため、要介護認定の申請手続きを進めました。
要介護認定の申請の理由
要介護認定の申請から実際の介護サービス開始までは時間がかかるため、早めに申請を出すことに。
そもそも介護サービスを利用したかった理由は、最悪の状況になった場合への備えです。
以下のようなリストを作り、リスクが起きた時の対処として、介護サービスをお願いしたいと考えました。
- 治療の副作用による、身体の衰弱
- 治療・病気のストレスによる、心身コントロール不可
- 緩和ケアへの早期の移行
認定調査の結果、「要介護2」で介護サービスを受けることができるように。
ただ実際には、ありがたいことに、すぐにサービスを利用しなければならない状況には陥りませんでした。
抗がん剤治療中、かなり身体が弱った時期もありましたが、なんとかサポートなしで乗り切れました。
更にありがたいことには、可能性として私が考えていた「最悪な状況」をむかえることなく、
根治へ向けた手術をすることができたのでした。
術後からはじめた介護サービス
手術がきまると、あらためて「術後に介護サービスを利用したい」旨を伝え、準備を進めました。
2019年12月5日に手術を終えると、退院までのあいだ、担当のケアマネージャーさんと電話でなんども会話。
体調の変化や、今後起きうるリスクなどを話し合い、
あらかじめ必要となりそうな介護サービスの用意をしていただきました。
私が利用した5つのサービス
私が利用した介護サービスは以下の5つです。
- 居宅介護支援(ケアマネジャーさんによる支援)
- 訪問介護(ホームヘルパーさんによる支援)
- 福祉用具貸与(ベッドやトイレ補助用具をレンタル)
- 訪問看護(介護保険と医療保険をつかっての訪問看護)
- 在宅医療(医療保険と介護保険をつかっての訪問診療)
退院後すぐ「サービス担当者会議」開催
12月21日に退院をするとすぐ
- 病院の栄養士さんに頂いた食事指導
- 現在の体調、不安や困っていること
- 術後、自立し回復するまでのプラン
などをまとめ、2日後に控えた「サービス担当者会議」の資料の一つとして、用意しました。
そして、2019年12月23日(月)に会議。私の自宅に集まってくださったのは
- ケアマネジャーさん
- ヘルパー管理担当さん
- 訪問看護の派遣担当さん
- 福祉用具の担当者さん
の方たちでした。
訪問医療については、私がギリギリまで「お願いすべきかどうか」悩み、サービスは2019年の退院直後からでなく、2020年1月から開始していただきました。
いよいよ介護サービス始まる
会議で決まった事は、ケアマネージャーさんがまとめてくださり
- 24日:福祉用具、訪問看護、ヘルパーさんの個別契約
- 25日:ヘルパーさん、看護師さんによるサポート開始
と、退院後からトントン拍子でサポートを受けるまで進み、ほんとうに良かったです。
朝早くから夜遅くまで、家族は仕事で家をあけ、日中の一人の時間が心配でした。
- 食事が摂れない
- 突然具合が悪くなる
といったときに、彼らのサポートのおかげで、なんども危機を脱出することができました。
サービス時間外や夜中の体調悪化にも、柔軟に対応していただき、とても助かりました。
家族でお出かけ、かけがえのない幸せ
退院後、もうすぐ始まる術後補助化学療法を目前に
家族にお願いし、皆んなで集まる時間をつくってもらいました。
膵がんの術後補助化学療法
術後の状態が落ち着いたところで6ヵ月間のS-1による術後補助化学療法を行います
出典:国立がん研究センター東病院
抗がん剤「TS-1」治療の前に集まりたい
術後補助化学療法でつかう抗がん剤「TS-1」は、副作用が軽いと言われているものです。
とはいえ、術後の弱った体への抗がん剤。元気でいられるとは限りません。
そこで
抗がん剤が始まる前に、皆んなで集まりたい
そんな私のわがままを、家族に受け入れて貰いました。
痛みを抱えながらの外出
トアラセット、ブスコパン、ロキソニン、これらの鎮痛薬を最大量使っても、痛みのコントロールが難しかった時期。
腹痛で、夜眠れないことや、食事が摂れないこと、頻繁にありました。
それでも、「なんとか家族で集まりたい」という、強い気持ちがありました。
出掛ける当日も、朝から腹痛で苦しく、お腹を抱えながらの移動でしたが
薬で何とかごまかしつつ、家族と会うことができました。
何気ない日常は、かけがえのない幸せの日々
術後なので、遠くへは行けません。
都内や近場をドライブしたり、レストランでご飯を食べたり、散歩をしたり
姉や兄、家族と過ごすこの時は、何にも代えがたいものでした。
大きな手術をしたばかりで、もうこんなにご飯も食べられ、元気に動き回れるなんて、本当にすごいね!
「良かったね、先生に感謝しなきゃね」
この時の姉の言葉です。
本当にそうですね。
あー、本当に楽しかった
病気になるまでは気がつかなかった「日常の幸せ」
家族との時間が、私をこんなに幸せな気分にさせてくれるのだと、あらためて感じました。
これからは、こんな幸せな時間が増えていくだけだー!
このときはまだ、その後の
- 術後抗がん剤の副作用
- コロナ禍に突入
の影響で
長い長い引きこもり生活がやってくることなど
想像もしていなかったのでした。
2年にわたるコロナ禍ひきこもり生活まで、あと◯◯日・・・
続きは、次の記事でお話しします。
この時期の学び – 何気ない日常こそ、かけがえのない幸せの日々
何気ない日常こそが、かけがえのない幸せの日々なのだと
病気になって初めて、心の奥底から感じることができました。
◇ ◇ ◇
Although the world is full of suffering, it is also full of the overcoming of it. – Helen Keller –
世界は苦難に満ちている、しかし同時にそれを克服することにもまた満ちている ヘレン・ケラー
これは、視力と聴力を失い、話すことさえできない三重苦を乗り越えてきたヘレン・ケラーの言葉。
生きていれば、つらいことがたくさん
でも同時に、それを乗り越えられるものでも満たされている
本当にそうだと思います。
退院してもなお続く腹痛や下痢、体調の悪さにうんざりしていた私でしたが
そんな苦痛を乗り越えさせてくれたもの、それが
- 私を癒やしてくれる家族との時間
- 介護サービスという社会の仕組み
だったことに気が付きました。
◇ ◇ ◇
そして、そんな家族との何気ない日常が、何ものにも代え難い日々であり
『かけがえのない幸せな時間』だったのだと
あらためて思うのでした。
おわりに
退院直後、なかなか回復しない体調(腹痛、下痢、倦怠感)に悩まされつつも
介護サービスのヘルパーさんや看護師さんに助けられ、何とか日常生活を送り
さらには、家族との時間まで、楽しむことができました。
はあ、私はホント幸せ者、今度こそ回復へ向かうだけ
そんなふうに思っていたのもつかの間、この後
- 抗がん剤「TS-1」の予想以上の副作用
- コロナ禍の悪化
により、引きこもり生活へと突入してことになります。
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