このブログでは、すい臓がんを完治するまでの、知識と経験を共有していきます
【闘病記04】がん専門病院の診断 – 延命治療のみの現実
こんにちは、チコです。
前回の記事では、がんの治療をお願いする病院を探し、ようやく希望の病院の初診まで漕ぎつけた
というところまで、お話ししました。
この後
がん専門病院ならきっと私を助けてくれるはず!
そんな私の甘い期待は外れ
厳しい現実に直面することになります。
今回は、ここからお話しします。
残るは延命治療の抗がん剤
大学病院の診断結果と同じです
のちの主治医となる、がん専門病院の肝胆膵内科医K先生は、こう静かにおっしゃいました。
術前補助療法なんて甘いものでない
大学病院と同じ診断・・・
・・・
てことは、腫瘍が血管を巻き込んでいるから、すぐに手術はできない・・。
抗がん剤治療になります
抗がん剤治療になります
まあ、抗がん剤ならどの病院でうけても、大体同じレジメンです
大学病院が通いやすければ、そちらでも大丈夫ですよ
え、この先生なに言ってるの?
私は、少しでも適切な治療で治りたいから、ここに来てるのに
いやいや、こちらで治療を進めたいと考えています
分かりました
こちらでもまた検査が必要になりますが・・
同時に抗がん剤治療もやっていきましょう
お願いします
あ、抗がん剤の治療は、「術前補助化学療法」ですよねっ
術前補助化学療法ではありません
事前の勉強で「術前 補助化学療法」という治療法を知ったわたしは、得意げに頷きました。
術前補助化学療法とは、最初にまず抗がん剤治療を行い、その後に手術を行うという治療法
出典:日本消化器病学会
すると、そんな私を遮るように、先生は「術前補助療法」を否定したのです。
いや、そうじゃない
術前補助療法といった甘いものではありません
・・・・・
え、どういうことですか?
手術はできません
・・・
手術はできません
・・
CT画像をみながら、クールな雰囲気のK先生は、淡々と続けます。
我々の病院では、他の大学病院などより、厳しい診断の仕方をするかもしれません
このあと先生は、手術ができない理由を説明してくれました。
腫瘍の大きさは2.5cmほどですが、残念ながら、重要な血管を大きく巻き込んでいます
そしてCT画像を指さすと
リンパ節が腫れている。転移の可能性もある
ちなみに、最初に診断された大学病院では、腫瘍の大きさは2.0cmと診断されたため、単純に計算し、10日ほどで、0.5cmも成長したことになります。
期待と失望
どこかで期待してた私
わたし、どこかで期待していました。
最初に「手術が難しいかもしれない」と大学病院の診察で聞いたとき
切除できるかできないかのボーダーライン膵がん(切除可能境界 域膵がん)だと受け取ったからです。
たしかに「手術は難しいかもしれない」とも言っていたけど、「不可能」とは言っていなかった
手術難がしいのは、その病院が大学病院、総合病院だからだと思った
専門病院なら、もっと進んだ治療があるはず、手術もできるはず、そう思った
がんの治療をとことん研究している病院なら、きっと私を助けてくれるはず・・・
ところが、そんな、がん専門の病院だからこそ
より厳しい診断を下してきたのです。
直面した現実に言葉を失う
手術はできません
・・
手術はできない。抗がん剤をやる。
この時は、先生のこの言葉が何を意味しているのか、よく分からず混乱してしまいました。
え、抗がん剤て、いつまでですか
あ、、・・・
一瞬言葉を詰まらせた先生でしたが
一生です
はあ、一生ですか・・
・・・・・・・・・
一生抗がん剤が意味するもの
手術が最も「根治的な(治る可能性のある)」治療法
出典:膵がん|国立がん研究センター
現在、手術が最も治る可能性のある治療法となっています。
一生抗がん剤
そして、わたしの言われた「一生抗がん剤」は
そう、一生抗がん剤です。
え、じゃあ、延命治療ということ・・・・・?
・・・・・
よく、「言葉をなくす」と言いますが、本当に言葉を失ってしまいました。
次に発する言葉がみつからない。
・・・・・
延命
それでも何とか、わたしは次の言葉を探しました。
そして苦し紛れに
じゃあ先生、30年延命させてもらえますか
・・・・・
・・・あはは・・
そうですね、がんばりましょう!30年と言わず、40年、50年!
それでも前へ進む
・・・ちょうど今、対象となる治験があります。挑戦してみますか
こうして 私は、抗がん剤フォルフィリノックスと、治験ニボルマブの治療をはじめることになりました。
みんな優しいな
診察室を後にした私を、看護師さんが走ってきて、声をかけてくれました。
ち、チコさーん、待ってっ!
あー、看護師さん、どうしましたか
大丈夫ですか?
淡々と聞かれていましたけど、大丈夫ですか?
え?
お一人で帰れますか?!
看護師さん、私があまりに淡々と会話をすることに、逆に心配になって声をかけてくれたそうです。
みんな優しいな。
この期間の学び – 俯瞰してみることの大切さ
前回の記事『【闘病記03】治療の病院探し – 迅速に、後悔しない行動 』での病院探しから
今回の、希望する病院での診断を通して、あらためて俯瞰してみることの大切さに気付きました。
治療を希望する病院にたどり着くまでの気付き
最初の大学病院の診断では、
手術は難しいけど、もしかしたら?・・という微妙な感じでした。
そんな一刻を争う状況の中だったため、泣いている時間はありませんでした。
◇ ◇ ◇
次に守備よく繋げるためには
全体を俯瞰してみて、自分が今どこにいて、次にどう動けばよいか
知る必要がありました。
ものごとの本質
私はこれまで仕事上で、状況を俯瞰して把握しリスクを考慮した上で、ベストな選択を探す、ということを求められてきました。
◇ ◇ ◇
俯瞰してみる、全体像をとらえる
このことは、わたしがプロジェクトマネージャーという職業柄、必要なことだと思っていました。
でも違いました。
◇ ◇ ◇
病院の選択といった「命をつなぐ」場面にも、やはり、俯瞰で物事をとらえることの大切さがありました。
俯瞰で物事をとらえる、は本質でした。
鳥の目、虫の目、魚の目をもつ
よくビジネスでは「鳥の目、虫の目、魚の目を持つことが大切」と言われていますが
- 鳥の目:全体像をつかむ
- 虫の目:細部に目をやる
- 魚の目:流れをよむ
人が「生きて」いく上でも、やはりこれら3つの視点は大切なのだと思いました。
おわりに
がんと診断され、膵がんの生存率の低さに驚き、自分にとってベストな病院をさがし
ついに希望の病院の門をたたいた。
ところが、そこで待っていた言葉は、「延命治療」でした。
続きは、以下の記事でお話しします。
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