このブログでは、すい臓がんを完治するまでの、知識と経験を共有していきます
[心]あるがままに生きる – 心の平穏を得るヒント
こんにちは、チコです。
今日は、がん患者にこそ必要な『心の平穏』を得るヒントを、わたしの経験を交えながら共有します。
◯ ◯ ◯
執着を手放し、受け入れる
流れに身を任せ、あるがままに生きる
私は子供のとき、家庭内のいざこざに巻き込まれ、つらい日々を送り、こう考えるようになりました。
竹のように強くしなやかに
あるがままに生きたい
◯ ◯ ◯
時は過ぎ、大人になると、仕事に忙殺され
「あるがままに生きる」などという子供時分の人生テーマのことは、すっかり忘れていました。
そして今、がんになり、病や死への恐怖と向き合い、あらためて
『あるがままに生きる』ことの大切さを実感しています。
◯ ◯ ◯
なぜ、がん患者には心の平穏が必要なのか
がんと診断されれば、誰もが少なからずは、心がザワつき、ときにはパニックに陥ります。
- 『膵がん闘病記録 』
病気そのものや治療の副作用から、体がつらいと思う時もあるでしょう。
そして、がんと診断された瞬間から続く、漠然とした不安感。
がん患者にとって、心の平穏なんてあるのでしょうか?
・・・
あります。
私自身、がんと診断された当初、病や死への恐怖に身をすくめながら過ごしました。
しかし
受け入れ、流れに身をまかせ、あるがままに生きる
を意識することで、「人は、どんな状況にいても、心の平穏を手に入れられる」ことに、気付くことができました。
そして、がん患者にこそ心の平穏が必要だということも。
なぜ、がん患者に心の平穏が必要か?
それは以下の3つの理由からです。
- 全てのエネルギーを、治癒へ向ける
- 自律神経を整え、がんのリスクを下げる
- こころを整え、治療のつらさを軽減できる
全てのエネルギーを、治癒へ向ける
がんといえば大病です。残念ながら、風邪と同じように過ごしていては乗り切れません。
では、どうするか。
もっている全てのエネルギーを、治癒のために使うのです。
もちろん治療中は、風邪などに無駄なエネルギーを割く暇はありません。
そのため、『食事 』にも、『睡眠 』にも気を使いますし、体力を維持するために『運動 』も必要でしょう。
そして、もう一つ大切なのが『心 』。
がんになると否が応でも湧いてくる、病や死への恐怖、先の見えない不安感。
これらの精神的緊張が強い状態では、それだけで疲弊してしまいます。
このような、治癒のプラスにならない無駄なエネルギーは取り去り、治癒に全エネルギーを向ける必要があります。
だから、心の平穏が必要なのです。
自律神経を整え、がんのリスク低下
国立がん研究センターや岡山大学などが共同で、「がんと自律神経の関係」を発表しています。
・自律神経が、乳がん組織内に入り込み、がんの進展や予後に強く影響
・ストレスなどによる交感神経の緊張が、がんを進展
出典:がんに自律神経が影響することを発見 がんの神経医療の開発へ|国立がん研究センター
このように「ストレスなどによる交感神経の緊張が、がんを進展させる」のだとすれば、
やはり、過度な交感神経の緊張を解きほぐすために、
心の平穏が必要となってきます。
こころを整え、治療のつらさを軽減
がん患者は、病や治療にともなう大変な苦痛を経験するわけですが、苦痛はなにも身体的なものだけではありません。
身体的苦痛に加え
- 精神的苦痛:不安、いらだち、孤独感
- 社会的苦痛:仕事、経済的、人間関係
- スピリチュアル:人生の意味、罪の意識
などもあります。
さらに厄介なのは、
精神的、社会的、スピリチュアル的な「こころの痛み」は「身体の痛み」をさらに増強させることです。
心の痛みが身体の痛みをさらに増強させる
出典:ストレスにより痛みが増強する脳メカニズム|日本緩和医療薬学雑誌
つまり、もともとある「身体の痛み」に対して、「心の痛み」も感じるようになり、
その「心の痛み」がさらに「身体の痛み」を強くするという負の連鎖が起きてしまいます。
ここを断ち切るためには、やはり、こころを整え、心の平穏を保つことが大切になってきます。
がんの恐怖と向き合い知った「心の平穏」
『闘病記 』にも書いていますが
がん診断直後の私は、混乱や恐怖、ある種の怒りの中にいました。
そして、ついには、これらの感情から逃げ出そうとも。
ところがある時、逃げることでは解決しない、と気づきます。
ここでようやく、心の平穏への鍵として、執着を手放し、あるがままを受け入れる、ことを学びました。
もう少し私の経験を、時系列にお話しさせてください。
がんになる前は、常に「問題解決モード」
以前の私は、「解決できないものへの執着を手放す」「あるがままに受け入れる」など、ほとんど意識していませんでした。
本記事の冒頭でお話ししたように
子供時分「竹のようにしなやかに強く、あるがままに生きたい」という人生テーマを掲げたものの
仕事の忙しさに追われ、すっかり忘れていました。
わたしは、仕事を進める上で必要だった
- 問題を特定
- 根本原因を分析
- 解決策を計画
- 解決策を実行
というような、単純な「問題解決」ステップを
生き方のスタイルにまでも、当てはめていたように思います。
がんから学んだ、解決出来るものと出来ないものの存在
ところが、がんになり、「自分の力や努力だけではコントロールできないことがある」と
人生ではじめて強く実感しました。
必死で努力しても、周りからの大きな力を借りても、
もはや人間の力ではどうしようもない事が世の中にはあるのだと、ようやく分かったのです。
そして、つかえる時間にも、つかえるエネルギーにも、限りがあるのだということも。
コントロールできないものの存在を認めたとき心の平穏が訪れた
自分で(人間が)コントロールできないことを必死で解決しようとしても、
ただ限られた時間とエネルギーを無駄に使うだけ。
このことを身に染みて感じたとき、悟ったことが
「コントロールできないものには執着せず、ただ受け入れる」
でした。
そしてここで、子供のころに掲げた人生テーマ
「竹のようにしなやかに強く、あるがままに生きたい」
とリンクしたのでした。
英語「go with the flow(自然な流れに身をかませる)」にもあるように
老子のタオの教え「無為自然に生きる(あるがままに自然に生きる)」にもあるように
これが、いわゆる本質なのかもしれません。
そして、この「解決・コントロールできないものの存在」を認めたとき、わたしの心に平穏が訪れたのでした。
心の平穏を得るための3ステップ
誰でも簡単にできる「心の平穏を手に入れる」ための3ステップをご紹介します。
ポイントは、分類と、手放し(解決できないこと)、集中(解決できること)です。
STEP1:問題(悩みや困難など)の具体化と分類を行う
悩みや困難といった問題に出くわしたとき、最初にやるべき事は、その問題の具体化と分類です。
※ 実は、悩みや困難といった問題の中には、「漠然とした不安感」など、実態が曖昧になっているものも多いです。
- 曖昧な場合は問題の具体化を行う
- その問題は、自分や周りの人の力でコントロール可能か否か、に分類
問題の特定・具体化
まずは問題の具体化。
漠然とした不安など、その正体が見えづらいものは、紙に書き出すなど、不安の種をあきらかにします。
例えば
- 痛くなるかもしれないから怖い
- 仕事が続けられるか不安
- いつまで元気でいられるか不安
のように書き出すことで、「漠然とした」不安から「なにが原因となった」不安なのかが分かり、問題の具体化ができます。
また、具体化することで、「では、どうすべきか」という次のステップへとつながります。
問題の分類
次に、具体化した問題を「解決できる」「解決できない」に仕分けます。
上述した1から3の不安に対する、分類例を見てみましょう。
- 解決できる:主治医や看護師に、もし痛くなった場合の対処を相談しておく
- 解決できる:身体、家族、仕事の状況を加味し、辞める・辞めないの判断基準を設定する
- 解決できない:ベストを尽くすことはできても、完全にコントロールすることはできません
STEP2:解決できない問題は一旦手放し、頭の片隅に
STEP1で「解決できない」に分類された問題は、頭の片隅におき、一旦手放します。
今回の例で言えば、3が「解決できない」に分類されました。
- いつまで元気でいられるか不安
誰しも健康で長生きしたいと思うものですが、「いつまで元気でいられるか」に関して、私たちがコントロールすることはできませんよね。
これは、がん患者に限ったことではなく、今日まで何不自由なく健康に暮らしている人でも、明日は災害や事故に遭うかもしれません。
神の領域とでも言うのでしょうか。
このような自分や周りの力だけではコントロールできないものは、頭の片隅に追いやってしまいましょう。
もちろんベストを尽くすことはできます。
健康のための努力、事故や災害回避のリスクコントロールなど、自分でできる範囲のことはすると良いでしょう。
STEP3:自分でコントロールできることに集中
STEP2で、解決できない問題を手放したことで、これまで使っていた無駄なエネルギーを解放できたはず。
このエネルギーを、自分や周りの力で解決できること、コントロールできる問題に集中しましょう。
今回の例で言えば、1と2が「解決できる」でした。
- 痛くなるかもしれないから怖い
- 仕事が続けられるか不安
例1:痛くなるかもしれないから怖い
これは、主治医や看護師さん、あるいは病院の緩和ケアサポートなどに相談することで、解決・コントロールが可能です。
私は、痛みがつらかったとき、緩和ケアサポートに相談し、医師を紹介してもらいました。
その先生の真摯なサポートのおかげで、わたしが当時とても恐れていた痛みへの恐怖を克服することができました。
不思議なもので、わたしの痛みへの強烈な恐怖がなくなって2~3か月経ったころ、私の身体の中にあった痛みが突然消え去りました。
例2:仕事が続けられるか不安
これは、仕事の辞めるタイミングの判断基準をあらかじめ作っておくことで、解決が可能です。
家族や会社などいろいろ周りの事情もあるでしょうが、
「自分自身はどうしたいのか、どこまでならできて、できないのか」をしっかり見極め、あなた自身を優先することも大切です。
いずれにせよ、STEP2で、解決できない問題を手放せば、
その手に負えないことに使っていた時間やエネルギーを、解決可能で本来すべき問題に、注ぐことができます。
ポイント:執着を手放すことは、希望を捨てることではない
手に負えないものに執着せず、本来すべきことに意識を執着する
たったこれだけですが、物事が驚くほどスムーズに進むようになります。
また、ストレスからも解放されるでしょう。
コントロールできないものに執着し生じた「負のスパイラル」を、上手くことが運ぶ「正のスパイラル」に戻すことが出来ます。
私自身、これまでの人生の中で、実は何度もこの体験をしていたことに気が付きました。
そして、がんになって、この「手放す」ことで得られた大きなメリットの1つが
不可能と言われていた根治の手術が出来るようになったことです。
ですから
「執着せずに手放すって、希望を捨てることなの?」などと考えないで下さい。
希望はいつだってどこかにあります。
そして、現実を受け入れ、執着を手放したとき、
案外ひょっこりと、希望の方から近寄ってくるかもしれません。
手放し、受け入れ、得られるもの
心の平穏
ここまででお話ししたように
執着を手放し、起きた事を受け入れる、ことで得られるものがあります。
こころの平穏です。
- こだわりを捨て、手放す
- あるがままを、受け入れる
- とらわれない
心の平穏をえる3ステップ
- 問題の具体化・分類
- 手放し(解決できない問題)
- 集中(解決可能な問題)
たとえば、
- 痛みや不安が軽減される
- 病が好転する
- 周りのサポートを得られやすくなる
など
そして、心穏やかに過ごすことで、快方へと向かう身体をサポートすることが出来ます。
がん患者に心の平穏が必要な3つの理由
- 全てのエネルギーを、治癒へ向ける
- 自律神経を整え、がんのリスクを下げる
- こころを整え、治療のつらさを軽減できる
私の場合
私の場合、診断直後はかなり混乱し、がんという事実から逃げようとしました。
しかし次第に、病気の自分を受け入れ、命への執着を"一旦"手放し
「自分のできるベストを尽くせばいい、いまを楽しく生きよう」と思えるようになりました。
結果として、がんは小さくなり、当初不可能と言われていた手術が出来るように。
その後も、術後の後遺症や抗がん剤の副作用など、
まあ、さまざまな事が次から次へと起きましたが、同様に、受け入れ、手放し、できることに集中し、一つ一つ乗り越えてきました。
もちろん、これからもいろいろあるかもしれません。
それが「生きる」ということ。
その度、現実を受け入れ、自分の手に負えないものは一旦手放し、自分ができることに集中する。
その繰り返しなのかなと思います。
おわりに
今回、心の平穏をテーマとし
- がん患者にこそ心の平穏が必要な理由
- 心の平穏を得る鍵『あるがまま』
- 心の平穏を得るための3ステップ
について
わたしの経験を交え、共有させていただきました。
『心の平穏を得るための3ステップ』まだの方はぜひ試してみてくださいね。
物事がスムーズにながれ、あなたが心穏やかに過ごす日々を、心から祈っています。
コメント
コメント一覧 (2件)
it 業界で思いっきり活躍をしていたチコさんが膵臓癌になって、たくさんの気づきを得ることができましたね。分析して学び、そして得ることができた確信を文章に綴られています。
コントロールできないものの存在を認める
執着を手放す
タオのように生きる
私も15年前からこのように考えて膵臓癌と付き合ってきました。
そして「心の平穏」が一番大切なことであると確信をしております。
チコさんの二つのブログがもっとたくさんの人に読まれるようにと願っております。
キノシタさん、コメントありがとうございます!
がんサバイバーの木下さんからの温かいお言葉、とても光栄ですし、嬉しく思います。
患者会ではいつもお世話になっております。
これからもどうぞ宜しくお願いします。