このブログでは、すい臓がんを完治するまでの、知識と経験を共有していきます
[心]科学的データでみる、がんと心、ストレスの関係
こんにちは、チコです。
今日は、「がんと心、ストレスの関係」について、見てみたいと思います。
ストレスがたまる生活をしてると病気になるよ
仕事に夢中だった私にあきれた家族の言葉です。
ストレスもいけなかったのかなぁ
そして、私が膵がんと診断され、家族で落ち込んだ時の言葉。
このように、過度のストレスが身体に良くないことを、わたしたちは経験則として知っています。
では、「がんとストレス」「がんと心」の関係を示した研究データはあるのでしょうか?
今回は、国立がん研究センターと厚生労働省の発表データをみていきます。
ストレスが影響するがんのリスク
がんの罹患リスク / 進行リスクと、ストレスの関係を示す研究データがあります。
ここでは
- がんの罹患リスクを上げる
- がんの進行をうながす
という2つの研究データについてご紹介します。
ストレスとがんの罹患リスク
まずは、国立がん研究センターによる「ストレスは全がん罹患リスクを上げる」という発表です。
本研究の結果から、長期的にみると、自覚的ストレスレベルが高ければ、全がん罹患リスクが高くなる
出典:自覚的ストレスとがん罹患との関連について|国立がん研究センター
本研究では
自覚的ストレスレベルが高いグループは、がん罹患リスクが11%上昇したことが報告されています。
下のグラフは、調査開始時と5年後調査時の自覚的ストレスに関する回答の組み合わせから、ストレスの変化を6つのグループに分けたもの。
1.「常に低」、2.「常に低・中」、3.「常に中」、4.「高が低・中に変化」、5.「低・中が高に変化」、6.「常に高」となっています。
「常にストレスレベルが低い」グループと、「常にストレスレベルが高い」グループを比較すると、がん罹患リスクが11%上昇していることが分かります。
やはり、慢性的かつ高いレベルのストレスにより、がんの罹患リスクも高くなるということですね。
ストレスとがんの進行リスク
前章で、ストレスはがんの罹患リスクを上げるという研究データをみましたが
ストレスの影響は、それだけに留まりません。
がんの進行リスクを上げる、という研究データもあるのです。
これは「ストレスなどによる交感神経の緊張が、がんを進展させ得る」というもの。
ストレスなどによる交感神経の緊張が、がんを進展させ得る
出典:がんに自律神経が影響することを発見 がんの神経医療の開発へ|国立がん研究センター
岡山大学、国立がん研究センターらの共同研究結果によると、
「自律神経が乳がん組織内に入りこみ、がんの増殖や転移に関わる」ということですが
自律神経が乳がんの増大に伴って乳がん組織内に入り込み、がんの増殖や転移に強い影響を及ぼすことを発見
同記事では、「慢性ストレスががんの進展を加速させる」という点についても言及しています。
疫学研究では、慢性ストレスががんの進展を加速させることが報告されており、ストレスに関連する自律神経の変化ががんに影響し得る
がんの経過にともなう心の変化
ここまでで、ストレスとがんのリスクに関する研究データをみてきましたが、
では、がんと診断された患者は、どのようなストレスを感じ、そのストレスはどう変化していくのでしょう?
がんと診断された直後からの、患者のこころの動きを追ったデータがありました。
見てみましょう。
がん診断から治療後までのストレス変化
私たちは、衝撃的ながんの告知を経験しているわけですが、
実際に多くの人が、がん告知直後は、混乱、否定、絶望、あるいは怒りを感じ、
その後しばらくは、不眠や食欲不振、集中力の低下などの身体症状を経ています。
場合によっては、その後うつ病になってしまう人もいます。
ただ人間には、本来備わった、目の前の困難や逆境を前向きな力に変え、状況に合わせ生き延びる能力があります。
そのため、徐々に現実を受け入れ、日常生活に戻っていくという経過をたどるようです。
がん患者にとってストレスとなる出来事
がんに罹患し、どのようなことがストレスになるのでしょうか。
がん患者が体験した悩みの実態調査が下の円グラフです。
私自身、がんに罹患しましたが、この結果には少し驚きました。
というのも、症状や副作用(15.1%)、就労や経済的負担(7.9%)、診断や治療(6.7%)と比べ、心の悩みを経験している患者さんの割合がとても大きいからです。
- 不安などの心の問題(48.6%)
- 家族や周囲との人間関係(11.3%)
- 生き方や生きがい(4.4%)
上記1~3は、心の悩みに通じるものです。
そう考えると、合わせて 64.3%もの人が、身体的症状や経済的負担より、こころの問題で悩んでいることになります。
ストレスの正体と、上手い付き合い方
前述したとおり、さまざまな研究データから
ストレスががんのリスクを上げ、また、がんになるとストレスが発生する、ということが分かりました。
では、そもそもストレスとはなんでしょう?
ストレスとは
ストレスは、わたしたちに起きる出来事や刺激に対する、心や体の反応や歪みのこと。
Stress is the spice of life
ストレスは人生のスパイスである
Hans Selye / ハンス・セリエ
ハンス・セリエ博士の言葉にもあるとおり、
適度なストレスは、人生に活力を与えてくれます。
しかし、過度なストレスを慢性的に抱えていると
私たちの身体にとって大切な「自律神経」「ホルモン分泌」「免疫」のバランスを崩すこともまた知られています。
そして、現代社会では、多くの人が日常的にストレスを感じていると言われています。
ストレスの原因と症状
ストレスの原因
心や身体の歪みを生じさせるストレスの原因として、以下のようなものがあります。
- 精神的:不安、怒り、人間関係など
- 身体的:病気、怪我など
- 化学的:栄養不足、薬害など
- 物理的:気温、騒音など
ストレスへの身体反応
ストレスの感じ方は、人によって、また環境によって違います。
ただ、慢性的に過度なストレスがあれば、自律神経、ホルモン分泌、免疫のバランスの崩れから
がんのような疾患リスクを含め、以下のようなリスクが高くなると言われています。
- 精神的な不調
- ストレス関連疾患(心身症)
<ストレス関連疾患>
ストレスへの対処法
ストレスと上手く付き合っていくために、以下のようなことが考えられるでしょう。
- 周りからのサポート
- 自分をいたわるセルフケア
- ストレスのコントロール
- 回復力を強化
周囲の支援を得る
ストレスを感じた時は、「頑張らない」「一人で抱え込まない」ことが重要です。
本格的な不調へと突入してしまう前に、ぜひ周りからの支援を求めてください。
- 医師やカウンセラーなど、専門家に相談しましょう
- 家族や友人、同病の仲間など、周りの人に相談しましょう
コントロール:ストレスのネガティブとポジティブの両側面を知りコントロール
生きていく中でストレスをゼロにすることは不可能ですが、
ストレスのネガティブな側面とポジティブな側面に気付くことで、コントロールが可能となります。
例えば、引っ越し。
引っ越しは、新しい生活への期待というポジティブなストレスです。
ところが、引っ越し準備で過度な疲労があるとネガティブなストレスにもなりえます。
病気はどうでしょう。
病気は、一見すると、ネガティブな側面しかないように思えます。
しかし、病を乗り越えた先には、成功体験という大きな自信につながるポジティブな側面もあるのです。
このように、ストレスのポジティブとネガティブな両側面を知り、うまくコントロールしていくことで対処できます。
回復力:人間に備わっている「回復力」でストレスのバランスをとる
私たちは誰でも、逆境を乗り越える回復力を、持ち備えています。
回復力を上手くつかうことで、ポジティブなストレスは楽しみ、ネガティブなストレスは自身の成長へつなげ、人生を豊かにすることができます。
その回復力を鍛えるするために、大切になってくるのが
つらい状況下においても、こころのバランスを保つためのヒント「こころの平穏」について、以下の記事で書いています。
こちらも良かったら参考にしてみてください。
おわりに
今日は、がんとストレスについての研究データをみてきました。
やはり過度なストレスは、自律神経、ホルモン分泌、免疫に影響し、その結果、様々な疾患のリスクが上がる
と言うことがわかります。
◇ ◇ ◇
ただ、ストレスは、捉え方次第でポジティブなものに変わりますし、
生活の質を高め、私たちが本来持っている回復力をつかい、跳ね返すこともできます。
こうした工夫をしてもストレスを感じる場合は、前述したとおり、ぜひ周りのサポートや専門家を訪ねてください。
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