このブログでは、すい臓がんを完治するまでの、知識と経験を共有していきます
俯瞰思考(実践・前編)がん告知~治療選択までの考えかた
こんにちは、チコです。
がんの告知が受け止められない
どうやって治療法をさがしたら良いの?
この先どう生きていけばいいの・・
こんな声をよく聞きます。私自身も同じ気持ちを味わったため、よく分かります。
こんなとき、前向きにモノゴトとらえ、より良く進めるためのよい思考法があります。
それが、『俯瞰思考(ふかんしこう)※』です。
※ 俯瞰思考(ふかんしこう)とは:さまざまな視点(高いところから全体を見下ろしたり、要素を分解し細かくしたり、逆転の発想をしたり)でとらえ考えること
『俯瞰思考』については、以下の記事で基本的な考え方を書いています。
まだ読まれていない方は、こちらもぜひご覧ください。
今回は、がん患者が出くわすであろう、様々な困難や、つらい気持ちにどう対処したらよいか
をテーマに、この思考法の使い方を見ていきたいと思います。
がん患者のための俯瞰(ふかん)テクニック
なぜ俯瞰テクニックが必要なの?
なぜ俯瞰テクニックが必要なのか。
それは、がんを治療する今だからこそ、的確に素早くモノゴトを進めたり、心の平穏を保つ必要があるからです。
がんの告知を受ければ誰でも動揺しますし、病や治療の苦痛から心身ともに必至になり
広い視野で冷静にコトを捉えることが難しくなってしまいます。
そんなとき、俯瞰思考への意識が、冷静かつ楽観的にコトを運ぶサポートしてくれるのです。
俯瞰思考の例から、あなたなりの「発見」を大切に
では具体的に、がんの診断後から治療までの各場面で、この思考法をどんな風に使えるか、一緒に考えていきましょう。
ここでお願いがあります。
これからお話しすることは、一例だと思って聞いてください。
なぜなら、最終的には「自分で納得し、自分の頭で考えたり、心で感じる」ことが一番良いからです。
「がん」という人生の大きな局面においては、今回お話しすることに限らず
俯瞰思考の役立つ場面がたくさんあるしょう。
また、正解も一つではありません。
ですから、例を参考に、ぜひ以下のような考え方で応用してみてください。
- 様々な視点 ※1 で多角的にとらえる
- 必要ならば、①の結果を、さらに違う視点で認識し直す
※1 様々な視点:俯瞰思考の5つの目の記事を参考にしてください
①と②を繰り返し、粘土をこねるかのごとく
あなたにとっての腑におちる解答が創造できるとベスト。
がん治療過程(告知~治療開始まで)の俯瞰思考の使いかた
では、俯瞰思考で考える例をご紹介。前編と後編に分けて書いていきます。
今回は、前編
- がん告知
- 病気の情報
- 標準治療
- 代替医療
- 治療の病院探し
のときの考え方についてです。
次回、後編では
- 食事療法・サプリ
- 仕事
- 生き方
- 死生観
- 生きがい
- 痛みや恐怖
についてお伝えしていきます。
がん告知を受けとめる
がんと診断を受けたとき、人はどんな気持ちになるのでしょう?
まるで死刑宣告を受けたように感じる・・
これは、病院の患者会で聞いたある患者さんの言葉。
絶望的な気持ちになりますよね。よく分かります。
俯瞰テクニック「人生のとらえ方を変えてみよう」
でもここで、俯瞰思考を思い出してみて。
がん告知のときは、「人生のとらえ方を変えてみる」という俯瞰テクニックがつかえます。
人生のとらえ方を変えてみる(「鳥の目」「コウモリの目」)
診断直後、たいていの人は、大きなショックに見舞われます。
そのショックはパニック状態へ発展し、「どうしたら良いか」分からなくなってしまいます。
そんなとき、とらえ方次第だということに気付いてください。
例えば、自分のいまの状況を、「まるで映画を観ているかのよう」だと、とらえることが出来れば
心に余裕がうまれ、「次にどうしたら良いか」が分かるようになります。
病気の情報に触れる
がんと診断されると、つぎは自分の病気の情報に触れることになります・・
病気のことなんて知りたくもない!
いったいどうしたら良いの?!
看護師さんの話では、診断直後は、嘆きのあまり感情的になる患者さんも多いそうです。
これらは当然の反応。
「がん」というと、悪い情報ばかりが目につきやすく、混乱しネガティブな感情に包まれてしまうのです。
俯瞰テクニック「どこにフォーカスするかが鍵」
この様なとき、「どこにフォーカスするかが鍵」という俯瞰テクニックを使ってみましょう。
どこにフォーカスするかが鍵(「鳥の目」「コウモリの目」)
「どこにフォーカスするかが鍵」とは
選択肢は一つではないと知ることからはじまります。
ここで3つの例をご紹介します。
① 孫氏の教え「彼を知り己を知れば百戦殆からず」
彼を知り己を知れば百戦殆からず ※1
※1 「敵と味方の状況を把握して戦えば、何度戦おうが敗れることはない」という孫子の言葉
「孫氏の兵法」で有名な孫氏の言葉にもあるように
病気を乗り越えるためには、その病気について正確な情報をえる必要があります。
本来ならこのように、最初から病気としっかり向き合えればベストですが
「がん」の場合(健康な時からは信じ難い)生存率など見たくない情報もあり、簡単ではありません。
ここで最初に、病気に立ち向かう気持ちが折れてしまう人も多いそうです。
② 古代ギリシャ政治家デモステネスの教え「逃げたものはもう一度戦える」
逃げた者はもう一度戦える ※2
※2 紀元前384〜322の古代ギリシャの政治家・弁論家 デモステネスの言葉
一方、古代ギリシャの政治家デモステネスの言葉のように
気持ちが完全に折れてしまう前に、一旦シャットダウンする(逃げる)という手もありです。
がむしゃらに前に進むだけが正解ではないということですね。
しかし、その場合は、必ず周りに「治療を進めてもらうよう」頼ってください。
③ 現代ニッポン夢想家チコの教え「固定観念を解き放そう」
さいごは、わたくしチコの「教え」です
おいおい・・・
ご自身で病気について学ぶ覚悟ができたら、まっすぐ受け止めましょう。
固定観念を解き、楽観的な考え方で情報と向き合うと、気持ちが楽になるはずです。
たとえば、すい臓がん患者にとっては受け止めがたい生存率ですが、以下のようにとらえるのです。
- 低い「相対生存率」でも、0%ではない、◯%もある、ラッキーと考える
- より楽観的になれる「サバイバー生存率」※ に注目する
(※ サバイバー生存率の詳細は、別記事でご紹介します。)
じつは、すい臓がんは、生きれば生きるほど、さらに生きられるようになるのです。
標準治療を考える
がんと診断されてから治療開始までは、目まぐるしく物事が進むでしょう。
治療方針を巡り
一刻も早く手術を!
手術は無理です、抗がん剤で!
など・・
医師や、家族、ネット情報など、異なる立場からの異なる見解に、戸惑うこともあるかもしれません。
俯瞰テクニック「全体像をつかむ」「流れを読む」
がんの治療は、今かなり進歩しています。
しかし、まだまだ課題の多い分野のため、不確実な部分もあり、異なる意見が出てしまうのです。
病気の当事者からしたら、正解の見えない複雑なコトのように感じられます。
どう紐解いたら良いか分からないときは、2つの目をつかってみましょう。
① 全体像をつかむ
最善の選択のためには、複雑な問題をシンプルにする必要があります。
こんなとき、「全体像をつかむ」が使えます。
全体像をつかむ(「鳥の目」)
例えば、治療方針をめぐり
- 外科と内科で意見が分かれる
- A病院とB病院では進め方が違う
などといったことが起きます。
どう選んだらいいの?
このとき、なぜ意見が分かれるのか?という問いにプラスし
以下のように、治療の全体像を俯瞰して見てみてください。
- 抗がん剤?手術?放射線?あるいは、他により良い治療はある?
- 治療中(後)、生活の質にどう影響する?
- 治療にどれほどの時間を要する?
- そもそも、現時点で治る見込みはあるの?
- 治験、新薬、最先端医療などは受けられる?
治療関係者や家族と全体像のイメージを共有することで
より建設的にスムーズな治療の選択へ繋げることができます。
② 時の流れをよむ
病気の進行スピードを考慮しながら、治療開始まで進める必要もあります。
とくに、すい臓がんは進行のはやい場合も多く、注意が必要です。
はやい変化にたいしては「流れをよむ」という目が役立ちます。
流れをよむ(「魚の目」)
主に見るべきことは以下の2点。
- 変化の速度(病気の進行など)
- 選択したコト(治療など)のスケジュール感
緊急度の高い順からこなしつつ、重要度についても目を配ってください。
この2つは同時に考えていってください。
このように、治療選択時には全体像をつかむ「鳥の目」や、流れをよむ「魚の目」が助けになることが分かります。
代替医療や民間医療を考える
治療については、一般的に病院では、いわゆる標準治療(抗がん剤、手術、放射線など)
標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療
出典:標準治療|がん情報サービス
をお勧めされますが
他にできることはないの?
標準治療だけでは不安・・
といった声もよく聞きます。
俯瞰テクニック「メリット・デメリットを俯瞰する」
標準治療以外では
- 先進医療
- 免疫療法
- 補完代替医療
- 民間療法
などがありますね。
どれを選ぶか・・・ もちろん、最終的には本人の意思が尊重されます。
しかし、代替医療や民間療法を考える場合、それぞれのメリット・デメリットを俯瞰してください。
(各治療法の)メリット・デメリットを俯瞰する(「鳥の目」「虫の目」)
すべての物事に表裏があるように、標準治療を含めどんな治療法にもメリット・デメリットがあります。
プラス、代替医療や民間療法の場合、「高額な医療費がムダに」「遠回りした」という声も多いため
しっかり考える必要があります。
たとえば、すい臓がんと診断されたスティーブジョブズの有名な話。
彼は当初、西洋医学を拒み代替医療を選択しました。
賛否両論はあると思いますが、のちにジョブズが口にしたという「後悔」という言葉は印象的でした。
後悔しない選択をするためには、やはり俯瞰思考を使い
メリット・デメリットを理解したうえで、覚悟をもって臨むことが大切ですね。
治療の病院をさがす
診断をうけ、「あ、そうですか。では治療をお願いします」と、そう簡単にはいかないのが「がん」です。
どこの病院へ行ったらいいの?!
俯瞰テクニック「優先順位を俯瞰する」
ありがたいことに、日本は「国民皆保険制度 ※1」があり、どこでも治療を受けることができます。
しかし、そのたくさんの選択肢(総合病院から専門病院まで)のおかげで
どの病院を選べばよいのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
病院選びは、俯瞰テクニック「優先順位を俯瞰する」をつかい考えてみてください。
(病院選びは)優先順位を俯瞰する(「鳥の目」「虫の目」「魚の目」)
どの病院が適しているかは、人によって異なります。たとえば
- がんに特化した病院が良いのか
- 手術件数が多い病院が良いのか
- 先端医療に秀でている病院が良いのか
だけでなく
- 長い治療期間を考慮した通いやすさ
- がん治療以外の症状にも対処してくれるか
- 診断当初から経過観察まで寄り添ってくれるか
などの観点からもみる必要があります。
また、すい臓がんなど進行の速いがんの場合は
- 初診までの時間
- 治療開始までの時間
についても、考える必要があるでしょう。
どの病院も、あなたの価値観や優先順位により、メリット・デメリットの違いが出てきます。
俯瞰思考をつかい、自分にとっての優先順位を考えてください。
そのうえで病院を選ぶことが、失敗しないコツです。
病院を探す際、以下のサイトも参考にしてみてください。セカンドオピニオンで情報を集めるのも一つの手です。
俯瞰思考(実践・後編)は、食事療法~生き方までの思考法です
今回の俯瞰思考(実践編)の「前半」は、がん告知~治療の病院探しまでの考え方を見てきました。
次回、後編では
- 食事療法・サプリ
- 仕事
- 生き方
- 死生観
- 生きがい
- 痛みや恐怖
への考え方について見ていきます。
おわりに
俯瞰思考や複眼思考、知っているようで、実はここぞというときに使えていない場合があります。
今回共有した考え方を参考にしてみてください。
そしてぜひ、あなたが一番幸せに感じる進め方を探してみてください。
コメント