このブログでは、すい臓がんを完治するまでの、知識と経験を共有していきます
[睡眠]科学的データでみる睡眠不足のがんへの影響
こんにちは、チコです。
今回は、「睡眠とがんのリスク」についての研究データを、いくつかピックアップして見てみたいと思います。
『【闘病記01】がん診断まで – 不調の一年と、診療所での検査 』でお伝えしたとおり、
わたしは2019年2月に膵臓がんに罹患してしまったわけですが
そのがんの要因として姉から指摘されたのが、私の睡眠不足の生活でした。
チコは昔から寝ない生活を送ったりして無理したから、良くなかったんじゃない?・・・
えー!? そうなの・・?
「健康には睡眠が大切」て言われるけど、がんとも関係があるのかな?
ということで、睡眠不足とがん罹患リスクとの関係について調べてみました。
【前提】睡眠不足による悪影響の研究データはとりづらい?
今回、「睡眠とがん」に関する科学的データを調べていく中で、分かったことがありました。
睡眠とがんの関係を明らかにする研究データ(統計)は、収集がむずかしいという点です。
それは、「睡眠不足の悪影響が、長い歳月をかけてジワジワと現れる」からです。
以下の記事でも書きましたが
国立がん研究センターが出している「がんの発生要因」には、「睡眠」に関する記載がありません。
あれ?
「睡眠時間とがんのリスクは関係する」という研究論文はあるのに
なんで、国立がん研究センターの情報の中にないんだろう・・?
睡眠不足の悪影響は時間差であらわれるため、統計がとりづらい
東洋経済オンラインの記事『日本人がやりがちな「寿命を縮める」3大悪習慣』をみて、その理由に納得しました。
睡眠不足の悪影響が現れてくるまでには、10年、20年以上の年月を要するため、非常に統計がとりづらい
東洋経済オンライン|日本人がやりがちな「寿命を縮める」3大悪習慣
同記事では、「寿命を縮める3大悪習慣」の1位として睡眠不足をあげており
「睡眠不足は、時間差でジワジワと悪影響が訪れる」とまとめています。
長期間の正確なデータ収集の難しさから、研究結果が一貫しないことも?
アメリカのNPO「Sleep Foundation」も、長期間にわたる睡眠の研究データ収集の難しさに言及しています。
「睡眠はがんのリスクに影響する可能性がある※1」
と主張する一方、
「長期間にわたる正確なデータの収集が難しいため、(睡眠不足ががんのリスクを高めるという)一貫した研究データが常に取れている訳ではない。※2」
と言及しています。
※1 Evidence has emerged that different components of sleep can affect cancer risk.
Sleep Foundation | Cancer and Sleep, 2020/12/04
※2 That said, studies on this topic are not always consistent or conclusive, which may reflect difficulties in accurately gathering data about sleep over the long term
「睡眠とがん」科学的データの背景にある裏事情
睡眠不足のツケは「10年から20年の歳月をかけ、時間差でじわじわと悪影響が訪れる」
前章でご紹介したこの言葉を目にしたとき、妙に納得しました。
それは、以下の記事で書いた私の睡眠不足の続いた生活や、坂本龍一さんのインタビュー記事を思い出したからです。
健康にはもともと自信があったんです。若いころは暴飲暴食して、徹夜しても全然平気だった・・
日経エンタメ!裏読みWAVE ( 2016年4月1日)|がんになって考えたこと 坂本龍一さん
睡眠不足は、10年から20年の歳月をかけ、時間差でじわじわと悪影響が訪れる
東洋経済オンライン|日本人がやりがちな「寿命を縮める」3大悪習慣
「10年から20年の歳月をかけ、時間差でじわじわと悪影響が訪れる」って・・
まさにお姉ちゃんに指摘された私の睡眠不足な生活だ
その一方
長期間にわたる「睡眠の質が、がんに与える影響」の研究データの収集は難しく、
時として一貫しないことがある、についても「なるほどな」と思います。
たしかに、長期間の睡眠データ収集はかなり難しそう・・
- 睡眠不足の悪影響は長い歳月であらわれる
- 睡眠ががんのリスクに影響する可能性がある
- 正確な長期間の睡眠データの収集は難しい
【睡眠不足とがん】研究機関の公表データ
さて、前章でご紹介した「睡眠とがん」に関するデータ収集は難しい、という背景を踏まえたうえ
「質の悪い睡眠はがんのリスクを高める」としている研究内容を4つピックアップしてみました。
- 2-1 厚生労働省 :生活習慣病や病状悪化のリスクを高める
- 2-2 東京女子医大:膵臓がんや大腸がん、がんのリスクが約6倍に
- 2-3 東北大学 :乳がんリスク1.6倍、前立腺がん1.3倍に
- 2-4 シカゴ大学 :がんの成長や攻撃性を促進する
- 2-1 厚生労働省
- 生活習慣病や病状悪化のリスクを高める
- 2-2 東京女子医大
- 膵臓がんや大腸がん、がんのリスクが約6倍に
- 2-3 東北大学
- 乳がんリスク1.6倍、前立腺がん1.3倍に
- 2-4 シカゴ大学
- がんの成長や攻撃性を促進する
生活習慣病や病状悪化のリスクを高める(厚生労働省)
厚生労働省は、質の悪い睡眠が生活習慣病のリスクを高めるとしています。
質の悪い睡眠は生活習慣病の罹患リスクを高め、かつ症状を悪化させることが分かっています
厚生労働省 e-ヘルスネット|睡眠と生活習慣病との深い関係
上記記事の中には、具体的に「がん」という言葉は書かれていませんが、がんも生活習慣病の一つと言われています。
つまり
ということになります。
膵臓がんや大腸がん、がんのリスクが約6倍に(東京女子医大)
日本睡眠学会(東京女子医科大学)は「不眠の人は、膵臓がんや大腸がんなどの、がんになるリスクが約6倍高くなる」という研究を出しています。
大谷憲さん著書で東京女子医科大学准教授 川嶋朗医師も推薦の『100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方 』で
この日本睡眠学会(東京女子医科大学)の研究を紹介しています。
不眠の人は、膵臓がんや大腸がんなど、がんになるリスクが約6倍
出典:100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方
具体的に、わたしも罹患した「すい臓がん」という病名があがってくると、少しギクっっとしますね・・・
ちなみに、これは420人を5年間にわたって追跡調査した結果だということです。
乳がんリスク1.6倍、前立腺がん1.3倍に(東北大学)
東北大学が2008年に発表した大崎国保コホート研究では、睡眠時間とがんの罹患リスクについて報告されています。
この2万3,995人の女性を対象とした7年間の追跡調査を元にした研究によると、
睡眠時間が6時間の人は、7時間の人と比べると乳がんのリスクが1.6倍以上になる
また、2万2,320人の男性を対象とした研究では
睡眠が6時間以下の人は、7-8時間の人と比べ、前立腺がんのリスクが1.3倍以上になる
ということです。
睡眠時間が短いほど乳がん罹患リスクが高い
出典:睡眠時間と乳がん罹患リスク:大崎国保コホート研究
がんの成長や攻撃性を促進する(シカゴ大学)
シカゴ大学では、睡眠不足が、がんの成長を早め攻撃性を促進するとしています。
2014年に報告された研究レポート
poor-quality sleep marked by frequent awakenings can speed cancer growth, increase tumor aggressiveness and dampen the immune system’s ability to control or eradicate early cancers
出典:Fragmented sleep accelerates cancer growth|シカゴ大学
頻繁な目覚めが特徴の睡眠障害は、がんの成長を速め、腫瘍の攻撃性を高め、免疫系が初期のがんを制御したり根絶する能力を弱める可能性がある
この報告によると、質の悪い睡眠は
- がんの成長を速める
- 腫瘍の攻撃性を高める
- 免疫系が初期のがんを制御・根絶する能力を弱める
可能性があるということです。
【まとめ】睡眠が大切な理由と適切な睡眠時間
ここまで「睡眠の質とがんのリスク」に関する以下の研究論文やデータについてお伝えしました。
- 2-1 厚生労働省 :生活習慣病や病状悪化のリスクを高める
- 2-2 東京女子医大:膵臓がんや大腸がん、がんのリスクが約6倍に
- 2-3 東北大学 :乳がんリスク1.6倍、前立腺がん1.3倍に
- 2-4 シカゴ大学 :がんの成長や攻撃性を促進する
- 2-1 厚生労働省
- 生活習慣病や病状悪化のリスクを高める
- 2-2 東京女子医大
- 膵臓がんや大腸がん、がんのリスクが約6倍に
- 2-3 東北大学
- 乳がんリスク1.6倍、前立腺がん1.3倍に
- 2-4 シカゴ大学
- がんの成長や攻撃性を促進する
これらの研究から、以下2つの観点において
- がん罹患前の「がんの予防」
- がん罹患後の「がんの進行・再発防止」
睡眠の質(適切な時間と睡眠リズム)が大切だということが分かります。
ここで注目すべきは、がんでない人も、闘病中の人も、睡眠の重要性を心に留めておく必要があることです。
がん「予防」のために睡眠は重要
「不眠の人は、膵臓がんや大腸がんなど、がんになるリスクが約6倍」という日本睡眠学会(東京女子医大)の研究や
東北大学の乳がんのリスク、前立腺がんのリスクについての研究結果から
がんに罹患するリスクを下げるために、睡眠の質が重要だとわかりました。
がんの「進行や再発防止」のために睡眠は大切
厚生労働省の「症状を悪化させる」や、シカゴ大学の「がんの成長や攻撃性を高める」といったコメントからは
病気の進行をおさえ予後を良くするという観点からも、睡眠の質はとても大切だと分かります。
適切な睡眠時間は7時間?
では、どれほどの睡眠をとるのが良いのでしょうか?
各機関の研究結果や主張が多少異なりますが、「7時間睡眠が最適」としている研究結果が多くなっています。
以下は、様々な疾患リスクを合わせた大規模調査「アメリカ110万人超を約6年間追跡調査した結果」のグラフです。
このデータによると、7時間程度の睡眠時間をとることが健康に最適ということがわかります。
最適な睡眠時間については、個人差があるため一概には言えない点があります。
そのため、これらの研究結果は一つの目安として、自身にとって最適な睡眠時間を探すのがよいのではないでしょうか。
- 「良質の睡眠」はがん罹患リスクを下げる
- 「良質の睡眠」は病気の進行をおさえ予後を良くする
- 「良質の睡眠」をとるには、7時間程度の睡眠が最適
おわりに
今回みてきた研究結果からも、あらためて睡眠の大切さが分かったわけですが
一方で
がん患者は、不眠症に陥りやすいということも知られています。
私自身も、がんを患ってから、睡眠障害になってしまいました。
そこで、次の記事では、わたしが睡眠障害になりどう対処・治療をしてきたのか共有していきます。
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