このブログでは、すい臓がんを完治するまでの、知識と経験を共有していきます
[運動2]衰弱や気分低下を防ぐ、がん患者に運動が必要な3つの理由
こんにちは、チコです。
前回『[運動1]科学的根拠でみる運動とがんの関係+わたしの経験 』では、運動とがんの関係についてのレポートをご紹介しました。
記事でご紹介したとおり、研究データからは、がん患者にも運動が大切だということが分かっていますが、実際のところどうなのでしょう。
今回は、私の闘病経験から、運動の必要性を切に感じたこと3つをご紹介したいと思います。
運動の理由1|フレイルを防いで体力をつける
フレイル(虚弱)
運動が必要な理由の1つ目は、治療中のフレイル(虚弱)を防いで、体力を維持することです。
私も治療中、髪の毛がバサバサと一気に抜けたり、ほぼ一日中トイレで過ごしたり、痛みで七転八倒したり
まあ、様々なことがおこりました。
でも、そんな辛いイベントをも上回るほど、心の底から「命の危険」を感じる恐怖が湧いてきた瞬間がありました・・
それが、フレイル(虚弱)。
ガリガリに痩せ細った自分
術後しばらくし、自分の身体を鏡にうつした時です。
ゴクリ・・・
え、これはいったい誰?
鏡の中には、今まで見たことのない自分が写っていました。
ガリガリにやせ細り、まさに骨と皮しかない状態の人が目の前にいる。
これ、わたし・・?
人間ってこんなに短期間でこんなに変わるの?!
驚きとともに、「このまま身体が消えてなくなっちゃうんじゃないの?」というような恐怖の感情に包まれたのでした。
ほんの一時の活動量低下で起きた
術後の入院中は病院のサポートのお陰でできた運動でしたが、自宅に戻ると痛みに負けてしまい身体を動かすことが出来ずにいました。
でも、体を動かすことを休んだ期間って、ほんの一時。1〜2週間ほど、ただただベッドにうずくまり痛みに耐えていた。
そのほんの少し、ほんの少しに思えた時間にも、わたしの身体は大きく変化していたのです。
さらに、その瞬間、気付きました。
あれ?筋肉がなくて立っていられない・・・
もちろん食事内容や下痢など他の体調要因もあったかもしれません。
とはいえ、身体活動量が落ちることでフレイルに陥っていく、この恐怖をひしひしと感じました。
運動の理由2|術後の回復を促し合併症を防ぐ
運動が必要な理由の2つ目は、術後の回復のサポートです。
痛いいいぃーーー!!!
お願いします!なんでもいいから、とにかく痛み止めを強くしてください!
このままでは気がおかしくなりますっ!
と叫んだ直後に気を失う・・・
術後、ICU 集中治療室での私です。
こんな状態で、体を動かすなんて正気の沙汰じゃないって思いませんか?
術後すぐに始まる運動
ところが、病院では、手術の翌日から体を動かすよう指導されるのです。
手術の翌朝から座る練習、立つ練習、歩く練習を始めます。体をどんどん動かすことが順調な回復につながります
出典:膵臓の手術について|国立がん研究センター東病院
まずはベッドに座ることから。そして、立ち上がる。次は足踏み。
ICUの看護師さん2人と医師1人が、私のリハビリに付き合ってくれました。
わたしの場合は、血圧が極度に低く、すぐに気を失ってしまいます。
こんなポンコツな私のリハビリを、根気強くささえてくださったICUのスタッフの皆さん。
いま思い出しても、感謝の気持ちとともに、涙が溢れてきます。
医療現場で重要視されるリハビリ
一方で、これほどまでに医療現場で重要視されている術後のリハビリ。「体を動かすこと」の大切さをあらためて思い知ったしだいです。
寝ている時間が長いと合併症が起きやすくなったり筋力が低下したりして、「寝たきり」につながることがあります
出典:膵臓の手術について|国立がん研究センター東病院
この時支えて下さった方々のおかげで、わたしは合併症もなく順調に術後を乗り切ることができました。
ICUのみなさん、その節はお世話になりました、ありがとうございます!
運動の理由3|治療中の気分の落ち込みを防ぐ
運動が必要な理由の3つ目が、気分の塞ぎや落ち込みを防ぐことにあります。
がんと診断された瞬間から治療中をとおし、病や先の見えない未来への不安で、気分の落ち込むことがあります。
- がん告知後、起きたことを頭の中で整理する過程で、落ち込む
- 病気、抗がん剤治療、手術からの体調の悪さで、落ち込む
- 病で先の見えないこれからへの不安から、落ち込む
などなど・・
私自身、がんと診断され、さまざまな落ち込む場面がありましたが、外へ出て歩くことで、癒されたことが何度もありました。
初めての抗がん剤投与のとき
初めての抗がん剤投与のための入院。
退院したその足で、浜離宮庭園をテクテクとひたすら歩きました。
20年前に抗がん剤で衰弱する母を見たトラウマから、自分の身体に抗がん剤が入った瞬間はとてもショックでした。
でも、この浜離宮での散歩が、わたしのピーンと張りつめた心と重い身体を癒してくれました。
抗がん剤の副作用に慣れてきた頃
2019年 抗がん剤治療開始から半年ほど経ち、薬の副作用にも少しずつ慣れてくると
抗がん剤を身体からぶら下げたまま、よく公園へ出かけていました。
動ける時は少しでも動いたほうが身体も心も楽になると分かったからです。
コロナ禍で一年以上続いた外出制限下
つらかったのは、2020年。
術後の痛みや下痢で動けなかったこともありますが、ちょうどコロナ渦となり、外出が制限されることに。
この一年は、病院へ行く以外は、ほとんど外へ出ることもなく過ごしました。
術後16ヶ月を経て回復し始めた頃
2021年春。
もうすぐ桜が開花する。怖がってばかりいても仕方ないよ。人のいない時間に見に行こう
引きこもりの一年で心身ともに疲れていた私を見かねた家族が、桜を理由に、外へ連れ出してくれました。
じゃあ、5分だけだよ
最初はおそるおそるでしたが、桜の美しさに魅了され、
つぼみ、開いたかな?
チェックしに行こう!
こうやって外に出るようになり
あらためて気付いたんです。
外で新鮮な空気を吸い、太陽の光にあたりながら、散歩をする。
こんな何でもないことが、これほどまでに気分を上げ、体調を大幅に改善していってくれるものなのかと。
おわりに
今回は、わたしが「動かなきゃ!運動しなきゃ!」と思った3つの瞬間をご紹介しました。
がんになると乗り越えなければいけないことが沢山あって大変ですよね。
そして、いつもダルい。気分も沈みがち。
そんなとき、勇気をふりしぼりエイヤーと一歩踏み出してみると、案外簡単に状況が変わることがあります。
身体と相談しながら、ぜひ試してみてくださいね。
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