このブログでは、すい臓がんを完治するまでの、知識と経験を共有していきます
[運動3]動けない・・がん患者の運動量低下の原因と、解決策
こんにちは、チコです。
がんと運動については、『[運動1]科学的根拠でみる運動とがんの関係+わたしの経験 』でご紹介した通り
活動量が多いほうが、がんの治療や予後、そして予防の観点から、良いことがが分かっています。
実際、わたしも闘病中に、動くこと・運動することがいかに大切かと痛感することが何度もありました。
とはいえ、体がつらい時に運動や体を動かすのは、なかなか大変なのも事実。
そこで今回は、がん患者にとって運動がむずかしい理由とその解決策について、一緒に見ていきたいと思います。
がん患者の運動をむずかしくする負のスパイラル
国立がん研究センターの資料に
- がん患者の治療中の活動量は診断前の10%
- 治療後も20-30%程度までしか回復しない
という衝撃のデータが紹介されていました。
同資料では、活動量低下の理由として負のスパイラルがあり、結果、生活がままならなくなったり治療継続が困難となる場合もある、と述べています。
私自身も陥ったこの「負のスパイラル」、いったいどのようなものでしょうか。
苦しくて動けない、動かない、負のスパイラル
もちろん、誰しも、体調不良のときに運動は難しいですし、無理は厳禁。
でもね、がん患者には、"いわゆる体調不良"以外にも、身体活動の低下をまねく理由があるのです。
それが、倦怠感と気分の落ち込みから始まる負のスパイラル。
少しは体を動かしたほうがいい
運動は回復のためにも必要だよ
もうー、分かってるよーーーっ!!!
ごめんね。分かってる。うん、頭ではわかっているんだけど…
何にもやる気にならないのよー。
気合い入れてようやく体を動かそうにも、今度は息切れが、、
はー、はー、はー、くるしーよー
くるしーよー・・・
倦怠感
そもそも、ひどい吐き気や痛みがあっては運動どころじゃないですが、この種の体調不良ではないのに動けない。身体が重い。それが倦怠感です。
わたしは、がんになる前は、この何とも言えない倦怠感の存在を知りませんでした。
そして、がんになり
初めてこの倦怠感が襲ってきたとき、ものすごく混乱しました。
え、なんでわたし動けないの?!だるい、とにかくダルい~・・・
倦怠感の原因としては
- 病気そのものからくるもの
- 治療の副作用からくるもの
- 体力低下や虚弱によるもの
などが考えられますが
この倦怠感こそが、負のスパイラルの渦の中へと巻き込まれていく、最初の一歩です。
気分の落ち込み
倦怠感と同時に、あるいは、倦怠感で動けない状態へのストレスとして、気分が沈みがちになります。
だるい、、、なんでこんなに身体が重いの・・・
わたし、この先どうなっちゃうんだろう
・・・・・・
- がんという病気にたいするストレス
- 倦怠感がある状態へのストレス
などから、どうしても気分が落ち込んでしまいます。
動けない
こんな風に、倦怠感で身体が重く、気分も沈みがちでは、動くことすらおっくうになってしまいます。
さらに、病気そのものや治療からくる体調不良まで、断続的におそってくる・・・
もはや運動する気には到底なれない・・・という状態になってしまうのも納得できますね。
体力の低下
動けない時は動かなくていいよ
無理する必要はないんじゃない
と言いたいところなのですが
ここで怖いのが、動かないことによる体力の低下なのです。
体力低下によって、通常の生活に戻れなくなったり、治療継続さえも困難になる場合がある・・・
だからこそ、『[運動2]衰弱や気分低下を防ぐ、がん患者に運動が必要な3つの理由 』でご紹介したように、
手術翌日から、看護師さん2人医師1人の貴重な時間を割いてまでも、彼らは必死に患者を動かそうとするのです。
負のスパイラルへ
ここまででお話しした
倦怠感 ⇒ 落ち込み ⇒ 動かない ⇒ 体力低下 ⇒ 倦怠感 ⇒ 落ち込み・・・
という状態を繰り返していくと、負のスパイラルの渦へと入っていくことになります。
そして、
本章の前半でご紹介したこの数字
- がん患者の治療中の活動量は診断前の10%
- 治療後も20-30%程度までしか回復しない
(※ 【参考】国立がん研究センター)
に繋がっていくのです。
「動けない」負のスパイラルから抜け出るための3つの提案
私自身、この運動ができないという負のスパイラルに、見事にハマりました。
一時期は「もうもとの生活には戻れない」と、本気で思うこともありました。
でも今はこうして、一人で外出し、(コロナ禍のため人気の少ない時間帯や道を探し)1時間ほど歩いて帰ってこれます。
そんな私が、負のスパイラルから抜け出せた方法を3つご紹介します。
気負わない(まずは散歩から)
あー、20分も運動できないよー
と嘆いていたわたし。これはダメな例です。
何もしないよりは、たとえ5分でも動いたほうがマシ。次へつながりますし、気分も上がるはず。
最初から「運動しよう」と気負うのではなく
「ちょっと散歩に出てみよう」「テレビでも観ながらその場で足踏み!」と気軽にはじめるとよいです。
可能なら外で太陽の光をあびながら、散歩をすると、気持ちよく免疫力を上げることができます。
写真を撮る、買い物をする、お料理をつくるなど、趣味を楽しみながら身体を動かすのも良いですね。
最初は、5分、10分と短時間からはじめ、体が慣れてきたら徐々に時間をのばしたり負荷をかけていく。
無理せず毎日継続するのがコツです。
自分をほめる
膵がんは厳しい病だと言われていますが、実際に膵がんになった人からお話を聞くと、とてもお元気な方が結構いらっしゃいます。
抗がん剤などものともせず
術後はすぐに仕事復帰できたよ
毎日よく食べよく遊ぶ、もちろん運動もっ!
体力のある彼らの話を聞くと、元気をもらえると同時に、羨ましくもあり、そしてときに自分と比べ、
なんで私は彼らのように体が動かないんだろう。私の体はポンコツすぎる
と比較してしまう時があります。
これもダメな例です。
人それぞれ個性があるように、回復までの道もそれぞれ違います。
人と比べない。できない自分を責めない。
そして、がんばっている自分をほめる、小さな目標でも達成したら褒める
これが、体を動かすモチベーションを上げるコツです。
周りのサポートをかりる
さいごに、意外と忘れがちなのが、「周囲の人たちに上手く頼る」ことです。
家族や医療関係者、友人。周りをよく見てみると「サポートを惜しまないよ!」と言ってくれる人たちが、実はたくさんいることに気づくはず。
頼り上手になりましょう。
私も、がんになった当初、周りにうまく頼ることができず、自分で抱え込んでしまうことがありました。
そんなとき
私たちはサポートしたいんだからもっとうまく伝えてっ
と、彼らに怒られてしまいました。
頼ることができるのは、なにも家族や友人だけではありません。
病院のサポートセンター、患者コミュニティー、ブログなどでも、体を動かすためのヒントやサポートを得ることができます。
おわりに
だるい、動きたくない
この誰しもよく使う言葉。
がん患者が経験するダルさは、横になっていてもダルくて辛い倦怠感だと、わたしも身をもって体験しました。
一方で、動かないと動けなくなる、という現実。つらいですよね。
今日ご紹介したことも含め、ご自身の気分が上がることを探し、最初の一方踏み出してみる。
どうか試してみてくださいね。
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