がんを克服するため意識した食べ物(私の経験4)

意識した食物

このブログでは、すい臓がん完治するまでの、知識と経験を共有していきます

こんにちは、チコです。

闘病記シリーズ 』では、私の2年間の膵がん経験をお話ししました。

今回は、がんを克服するために意識した食べ物をご紹介します。

もくじ

治療中の食事の基本と、意識的に食べた物

治療中は、倦怠感や吐き気、激しい腹痛や下痢などの症状があり、体力的にかなり辛い時もありました。

また、病気への不安や死への恐怖にさいなまれ、精神的に身動きがとれなくなったことも。

身動きがとれない

そんな私を救ってくれたものの一つが、「食」でした。

崩れてしまったバランスを整え、身体のシステムを再び正常に戻すべく

自分の身体が欲しているものは何かと一つ一つ探りながら、食事をしてきました。

具体的には、以下の5つを意識しながら、食事を楽しむようになりました。

  1. 栄養バランスを意識
  2. ホールフードを意識
  3. フィトケミカルを意識
  4. 免疫力の強化を意識
  5. 身体に良い油を意識

栄養バランスを意識

食事で意識したこと

抗がん剤の治療中は「生ものNG」などと言われることもあるそうですが

わたしの場合、有難いことに、病院から指示された食事制限はありませんでした。

看護師さん

抗がん剤中でも、お刺身もOK

「食べたいものを、食べたい時に、食べたいだけ、どうぞ!」

チコ

わーい!

そう言われた私は、もともと考えることが好きだった栄養学をおさらいし

以下 5つを意識しながら、食事の内容を調整していくようになりました。

  1. たくさんの種類の食材
  2. 5色で栄養バランスチェック
  3. 野菜は一日小皿5皿(350g)を目標
  4. 魚を食べEPAとDHAをとる
  5. 治療中のサプリや栄養補助食品

基本|さまざまな食材&彩りを意識

さまざまな食材

まず、栄養バランスを整える基本として

  • できるだけたくさんの食材
  • 食卓を彩りよく(5色を意識)

を心掛けました。

栄養バランスを考えながら食材を選ぶ方法として、『食材大全 』や『忙しい人の世界一シンプルな「食」習慣(5色健康法) 』などが参考になります。

ついつい同じ食材に偏りがちな時は、これらの本を活用し、食材を選ぶ際のヒントにしています。

野菜|たくさんの野菜&全粒穀物

たくさんの野菜

野菜はたくさん食べたほうが良いと言われますが、漠然としていますよね。

そこで、厚生労働省が提唱している「1日野菜 350g」を目安に。

小鉢一皿70g × 5皿 = 350g / 1日(※ 下の絵はクリックで拡大します)

一日の野菜摂取量350gの目安
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット

葉物野菜から根菜まで、旬の野菜や香味野菜を好んで食べています。

WCRF(世界がん研究基金)が提唱する「全粒穀物をとる」も参考に、玄米や雑穀米も積極的に食べています。

もちろん、治療中は何度か食の危機?を経験しました。

食べられない、うずくまる

例えば

  • 抗がん剤中:副作用で食べられない
  • 手術後:すぐに消化不良で腹痛や下痢に

など

こんな風に食事だけでは十分な栄養がとれない時は、必要に応じ

玄米酵素や青汁も補助食品として活用し、補いました。

お魚|オメガ3脂肪酸豊富な魚を意識

魚料理

治療中、あっという間に痩せてしまった時期がありました。

とくに術後の抗がん剤中はつらかった。

筋肉もかなり落ち、気がつけば体重が35kgを切るほど痩せ細り・・ かなりショックでした。

ショック

術後は「食欲がない」「お腹に優しいもの」ということから、食べやすいお粥ばかり食べていたからです。

ところがある時、栄養不足が原因で

食事が減る → 痩せる → 体力が落ちる → 抗がん剤の副作用に苦しむ → 食事が減る → ・・苦しむ

という負の連鎖に陥ってしまうことに気が付きます。

そこで、体力をつけ負の連鎖を断ち切るため、タンパク質を意識的にとるようになりました。

豆腐や納豆など植物性タンパク質は、もともと好んで食べていたため

とくに、魚などの動物性タンパク質を意識して食べるように。

魚には、がんが好む慢性炎症やストレスの改善が期待できるオメガ3脂肪酸が豊富です

鮭、まぐろ、鯖、さんまなどを、積極的に食べています。(※ただし大型魚は水銀の問題もあるため、頻度を控えめにしています)

サプリ|” 治療中 ” は極力サプリに頼らず食事から栄養摂取

サプリ

サプリで身体を整えるいう考えもありますが

わたしの場合、治療中のサプリは、なるべく控えました。※1, 2

※1 現在は、治療終了後1年以上経ち、肝機能の数値も良いため、数種類のサプリを活用することも。詳細については別の記事でご紹介します

※2 また、一部の栄養素(ビタミンDと乳酸菌)に関しては、治療中も不足分をサプリで補いました。こちらについては、後述する章でご紹介します

治療中は、抗がん剤や手術で身体に負担がかかり、以下のリスクが懸念されたからです。

  • サプリによる肝障害のリスク
  • 治療薬とサプリの相互作用の弊害
  • 特定の成分の過剰摂取リスク(たとえばβカロチンの肺がんリスクなど)

  

薬物性肝障害とは、(中略)サプリメントなどが原因となり起こる肝臓の炎症

出典:「薬物性肝障害」あすか製薬株式会社 

健康食品を摂ることにより、病状を悪化させたり、治療薬の作用を強めたり反対に弱めたりと影響を与えることがある

出典:「医薬品との併用に注意のいる健康食品」愛知県薬剤師会

サプリメントにより、特定の成分をとりすぎない

出典:「がんを遠ざける生活習慣」国立がん研究センター 

以上ご紹介した「栄養バランスを意識した食」の詳細は、以下の記事でお伝えしています。

ホールフードを意識

全粒穀物などホールフード

量をたくさん食べられない治療中だからこそ、良質な栄養がギュッとたくさん詰まった食べ物を食べたい。

そこで、ホールフードを意識した食事にしました。

ホールフードとは

ホールフードとは:皮や根や葉など、実と一緒に食べられるところは、丸ごと食べるもの

ホールフードの例として、たとえば

大根やニンジンなど根菜の皮、きんぴらにすると美味しいですね。

精米していない玄米、最近は美味しく炊ける炊飯器もたくさんあります。

メディアや実演販売で目にしてから、めちゃめちゃ気になっている酵素玄米炊飯器『酵素玄米Labo』

酵素玄米Labo
出典:酵素玄米Labo

【関連】酵素玄米炊飯器『酵素玄米Labo』2021年製造品(Amazon)

果物だと、皮付きのリンゴやゴールデンキウイ、温州みかんの薄皮や白い繊維など

果物や野菜は皮をむくという人も多いですが、一緒に食べると甘くて美味しです。

皮つきみかん
チコ

それだけではありません

ホールフードのメリット

チコ

実は、

私たちが普段捨てている皮や葉などの野菜くずの中にこそ

ビタミン、ミネラル、フィトケミカルなどの栄養素がたっぷり含まれているのです。

わたしが愛読している『その調理、9割栄養捨ててます!(東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 監修)

その調理、9割の栄養捨ててます
出典 Amazon

という本では

ジャガイモやゴボウ、大根、ニンジンなどの根菜類は皮のすぐ下に栄養がたっぷり。リンゴなどの果物全般は皮にポリフェノールが含まれています。

カボチャの種はスーパーフード

など、野菜の皮、種、根、根菜類の葉などの豊富な栄養素を紹介しています。

ホールフードとがん

どれを選ぶか

ホールフードにたっぷり含まれる栄養素。がんとの関係はどうでしょう。

たとえば

温州みかんの皮には、がんのリスクを下げると注目される成分「βクリプトキサンチン」が含まれています。

肺がんリスクの低減効果が認められたとする報告が相次ぐなど,β-クリプトキサンチンに際立った新たな生体調節機能がいくつか報告

出典:国産カンキツ類に多いβ-クリプトキサンチンと機能性食品の開発生鮮物で初めての機能性表示食品 

りんごは皮にたくさんのポリフェノールを含み、そのうちのフロレチンという成分が がんのリスクを下げるといったレポートもあります。

フロレチンは主にリンゴの葉や皮に多く含まれているポリフェノールで、最近の研究により、がん細胞の増殖や転移を抑制するような働きがあることが報告されています。

出典:「葉や皮に含まれるフロレチンに注目 リンゴでがんを撃退?」日刊ゲンダイ ヘルスケア

ポリフェノールなどフィトケミカルが豊富な食を意識

ポリフェノール豊富な食材

ポリフェノール、カロテノイド、含硫化合物などのフィトケミカル(phytochemical)の豊富な食材も意識的に食べました。

フィトケミカルとがん

フィトケミカルの多い植物

フィトケミカルとは

フィトケミカルとは、植物が紫外線や害虫などの有害物質から自身を守るために作り出す化学物質。

フィトケミカル:英 phytochemical / 植物化学物質

野菜や果物、全粒穀物、豆、ナッツやシード類(種子)などに多く含まれています。

抗酸化、デトックス、免疫増強、がん抑制などの効果が期待できるといわれ、注目されている成分です。

期待されるメリット

世界トップクラスのがん専門病院 MDアンダーソンがんセンターは

フィトケミカルには、以下のような潜在的メリットが期待できるとしています。

  • 免疫システムの強化
  • 炎症の軽減
  • がん細胞の成長鈍化

また、1つの食物からではなく、より多くのものから摂取することで、最大限のメリットが得られるとされています。

フィトケミカルの種類と含まれる食物

以下、代表的なフィトケミカル、含まれる食物のメモを載せておきます。

ポリフェノール(フラボノイド系)

強い抗酸化力を持つ。MDアンダーソンがんセンターによれば「腫瘍の抑制、炎症の軽減、免疫力の強化が期待できる」ともされている。

  • アントシアニン:ブルーベリー、松樹皮エキス、グランベリー
  • イソフラボン:大豆
  • フラボン:セロリ、パセリ、ピーマン
  • フラバノール:リンゴ、ワイン、緑茶、果実類、カカオ
  • カテキン・フラバノール:緑茶、カカオ
  • フラボノール:ブロッコリー、リンゴ、玉ねぎ
  • フラバノン:柑橘類の果皮

ポリフェノール(非フラボノイド系)

強い抗酸化力を持つ。

  • クロロゲン酸:コーヒー
  • ロズマリン酸:シソ
  • セサミノール:ゴマ

含硫化合物

特にスルフォラファンは、肝臓での解毒・排出作用や、がん予防への効果で注目されている成分。

  • スルフォラファン:ブロッコリースプラウト、ブロッコリー
  • イソチアシネート:ワサビ、大根
  • システインスルホキシド:タマネギ、キャベツ

カロテノイド

とくにβ-クリプトキサンチンは、ガン成長の抑制、免疫力強化で注目されている。

  • βカロチン:ニンジン、カボチャ
  • ゼアキサンチン:カボチャ、トウモロコシ、モモ
  • β-クリプトキサンチン:みかん、ほうれん草
  • ルテイン:ブロッコリー、ほうれん草
  • リコピン:とまと、スイカ

その他

  • βグルカン:きのこ
  • フコイダン:海藻
  • リモネン:柑橘類

私のある日のフィトケミカルの食べ方

ナッツ、コーヒー、カカオ

私は、フィトケミカルが摂取できるよう、以下の2点を意識しています。

  1. ホールフードを意識した調理をする
  2. フィトケミカルが多い食物を食事に取り入れる

とくに一年を通して気軽にとれることから、以下のような食品をよく食べています。

  • 緑茶
  • コーヒー
  • カカオ
  • ナッツ
  • ブロッコリースプラウト
  • にんにく
  • ゴーヤ

たとえば、いつも食べているご飯、その日食べたい気分のご飯に、以下のような食べ物を意識的に加えます。

朝食
  • サラダ(ブロッコリースプラウトと好きなフルーツ、ナッツアーモンド・クルミ・カシューナッツなど)を砕いたもの)
  • デザートブルーベリーグランベリーを添えたココナッツヨーグルト)

(+スクランブルエッグ、全粒粉パンなど)

10時のおやつ
  • コーヒー
  • カカオ95%のチョコレート
ランチ
  • ゴーヤチャンプル(ゴーヤ玉ねぎしめじ豆腐)の炒め物

(+ポン酢照り焼きチキン、玄米ご飯みそ汁など)

3時のおやつ
  • 緑茶
  • 皮付きりんご
  • 黒にんにく
夕飯
  • ブロッコリーかぼちゃ人参キャベツのスチームサラダ
  • わかめほうれん草のスープ
  • 玄米炊き込みご飯(しらす、小松菜、人参、椎茸など)

(+お刺身、鮭のムニエルなど)

こんな風に、ほんの少し意識するだけでも、がん患者にとって嬉しい成分を、美味しい食事からとることができます。

免疫力を高めるとされる食品を意識

青魚など、ビタミンDや免疫力を高める食材を意識

がん患者にとって重要な免疫力。

免疫力を高めるもので、がん患者に不足しがちなものがあります。

がん患者に不足しがちなビタミンDと良い腸内環境

それが、ビタミンDと良い腸内環境。

腸内環境

がん患者は、ビタミンDの血中濃度が低く、腸内環境が乱れているケースが多いと言われています。

そして、このことが、がんの治療や予後にも影響するという研究報告もあります。

ビタミンDや腸内環境は、食生活を意識するだけで改善可能、試さない手はありません。

ビタミンDが豊富な魚やキノコ

わたしは、以下のような食品からビタミンDや腸内環境によいものを摂るようにしています。

不足する場合は、サプリで補うことも。

  • ビタミンD】きくらげやキノコ類、魚介類や卵など
  • 腸内環境(乳酸菌)納豆、ヨーグルト、味噌などの発酵食品から(オリゴ糖・食物繊維)ニンニク、玉ねぎ、アスパラ ※乳酸菌のエサになる

※ ビタミンDは日光浴などでも作られます

ビタミンDとがん

ビタミンDとがんの関連性について見てみましょう。

幾つかの研究で、「ビタミンD不足とがんとの関連」「ビタミンD3が進行がん発症リスクを減らす可能性」といった報告があがっています。

These findings suggest that vitamin D3 may reduce the risk of developing advanced cancer
(訳:ビタミンD3は進行がん発症リスクを減らすかもしれない)

出典:JAMA Network Open (米国医師会雑誌)「Effect of Vitamin D3 Supplements on Development of Advanced Cancer」

腸内細菌とがん

腸内細菌とがんついてはどうでしょう?

「腫瘍内の細菌叢の多様性・構成(腸内細菌叢が調整)が膵がん患者の長期生存率や術後の予後に影響する」といったレポート

「免疫チェックポイント阻害薬や抗がん剤の治療効果が、腸内細菌叢にも依存」といったレポートが、あります。

興味深いことに,免疫チェックポイント阻害薬や化学療法の治療効果は腸内細菌叢に依存していることが報告されている 

出典:J-Stage「膵疾患と腸内細菌」東京慈恵会医科大学附属柏病院 伊藤善翔、小井戸薫雄、大草敏史

膵がんについては、「腫瘍内の細菌叢の多様性や構成が、長期生存率や術後の予後に影響する」といった論文も。

PDAC long-term survivors display high tumor microbial diversity and immunoactivation.
(中略)
The gut microbiome modulates the PDAC tumor microbiome landscape.
(中略)
Tumor Microbial Diversity Is Associated with Better Outcomes in Resected PDAC Patients.

出典:Cell Press「Tumor Microbiome Diversity and Composition Influence Pancreatic Cancer Outcomes」

(※PDAC=膵臓腺菅癌
訳:膵がんの長期生存者は腫瘍内細菌叢の多様性と免疫活性化をみせている。腸内細菌叢が膵がんの腫瘍内細菌叢の状態を調整している。腫瘍内細菌叢の多様性が膵がん患者の術後のより良い予後と関連する。)

身体に良い油と悪い油を意識

身体によい油とよくない油を意識

実は、がんになる前までの私は、

  • 酸化した油はさける
  • 外食で脂質はとりすぎない
  • オリーブオイルはよい

くらいの認識で、あまり油に気を使う事はありませんでした。

ところが、がんになり、食事を見直すため栄養について調べていくと、油を考えることの重要性がみえてきました。

油を意識することの重要性

オリーブオイル

油は「とらない」ではなく「意識してとる」ことが大切。

なぜなら

  1. 油は、生きていくために必要な栄養素の一つ
  2. 健康に悪い油が、存在する

脂質は生体膜の構成成分やエネルギー源として利用されるだけでなく、(中略)、物理的・化学的・生物学的に極めて重要な栄養素

(中略)

免疫・アレルギー・炎症反応の制御において重要な役割を果たす

「オメガ3,オメガ6,オメガ9脂肪酸の代謝による新たな免疫・アレルギー・炎症の制御機構食用油を使い分けてより健康に」国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチンマテリアルプロジェクト&腸内環境システムプロジェクト

あらためて、油についてみてみましょう。

油は生きていくために必要な栄養素

生活の中のオイル

油は、生きていくために必要なエネルギー源となったり、体を構成する成分となる重要な栄養素です。

  • 効率よいエネルギー源:虚弱になりがちながん患者に必要
  • 体に必要な構成成分:身体の37兆個もの細胞を守る細胞膜は脂質でできている

それだけではありません。

オメガ3脂肪酸のように、がんが好む慢性炎症を改善したり、ストレスを軽減したり

私たちを病気から守ってくれる役割も果たします。

健康に悪い油がある

身体によくない油のイメージ

健康な体を作るために、とりたい油がある一方

トランス脂肪酸 ※1 や酸化した油 ※1 など、健康を害するおそれのある油もあります。

※ トランス脂肪酸や酸化した油は、 加工食品、外食、コンビニ弁当に含まれることが多いです。油の詳細については、次の章でご紹介します。

また、調理過程で、体によくない油に変化してしまう場合もあるので注意が必要です。

  • 積極的に取るべき油と避けるべき油がある
  • 調理によって使うべき油が異なる

とりたい油と避けたい油

脂肪酸
※ クリックで拡大します

まず、油に含まれる脂肪酸の種類として、以下の2つに分けられます。

  • 飽和脂肪酸
  • 不飽和脂肪酸(一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸))
オリーブオイル

さらに、不飽和脂肪酸には

  • オメガ3脂肪酸
  • オメガ6脂肪酸
  • オメガ9脂肪酸
  • トランス脂肪酸

があります。

とりたい油

食卓においておきたい油

意識的にとりたい油として推奨されているものは

  • EPAやDHAなど魚油(オメガ3脂肪酸)
  • アマニ油やえごま油(オメガ3脂肪酸)
  • オリーブオイル(オメガ9脂肪酸)

私自身、油をとる場合は、魚油、あまに油・えごま油、オリーブオイルを意識しました。

魚に含まれるEPA・DHAやアマニ油・えごま油などに含まれるオメガ3脂肪酸がお勧めな理由を簡単に解説します。

※ おすすめな理由:

  1. がんを含め様々な疾患の原因となる慢性炎症をおさえる
  2. 身体の中でつくられない(摂取する必要のある)必須脂肪酸
  3. 同じ必須脂肪酸であるオメガ6脂肪酸とのバランスのため

エキストラバージンオリーブオイルがお勧めな理由を簡単に解説します。

※ おすすめな理由:

  1. 抗炎症物質であるオレオカンタールが含まれる(エキストラバージンオリーブオイル)
  2. オメガ9脂肪酸(オレイン酸)が主成分で酸化しづらい
  3. 長寿食といわれる地中海食でもオリーブオイルがふんだんに使われている

避けたい油

避けたい油のイメージ

避けたい油とされているものは

  • トランス脂肪酸(ラードやマーガリン、スナック菓子などに含まれる)
  • 酸化した油(外食、コンビニ弁当などで摂取する可能性あり)
  • サラダ油などのオメガ6脂肪酸(オメガ6脂肪酸は「必須脂肪酸」のため適量はとる必要あり)

これらは、外食、加工食品やスナック菓子、お弁当やレトルト食品などから、どうしても摂取してしまいがちになります。

食品を選ぶときはもちろん、家庭で調理する際も、避けた方がよいと言えます。

サラダ油はダメなの?

サラダ油はオメガ6脂肪酸 (リノール酸) を多く含みます。必須脂肪酸であるオメガ6は、食事からの摂取が必要ですが、バランスとして、[オメガ3:オメガ6 = 1:1~2] が理想。

ところが、現在の日本では [オメガ3:オメガ6 = 1:10] のため、オメガ6脂肪酸の長期にわたる過剰摂取の弊害(がん、脳梗塞、心筋梗塞、アレルギーの発症リスク)が懸念されています。

そのため、サラダ油などオメガ6脂肪酸を含む油は控えたほうが良いと言われているのです。

調理によって使い分けが必要な油

調理によって油を使い分ける

調理によって油を使い分けるポイントの一つは、熱に強いかどうかです。

高温でも酸化しづらい油と、加熱により酸化してしまう油があります。

加熱調理につかう油

加熱調理に使う油

加熱料理には、熱による酸化が少ないといわれる

  • ラード、牛脂、バター、ココナッツオイルなどの飽和脂肪酸系
  • オリーブオイルなどのオメガ9脂肪酸

が向いています。

サラダ・マリネのドレッシングの油

ドレッシングとして油を使う

逆に、熱に弱く酸化しやすい油は、サラダやマリネのドレッシングなど、非加熱調理に向いています。

  • あまに油やえごま油などのオメガ3脂肪酸
  • エキストラバージンオリーブオイル
  • 魚油(EPA, DHA)(※ 魚を食べるときも、栄養価の高い順に、刺身 > 焼き魚 > フライ となる

オメガ3脂肪酸とがん

フィッシュオイル

油の中には、がんのリスクとの関連がはっきり指摘されているものもあります。

魚由来のn-3不飽和脂肪酸およびトータルのn-3不飽和脂肪酸摂取量が多いグループの結腸がんリスクは低い

引用:n-3およびn-6不飽和脂肪酸摂取と大腸がんとの関連について|国立がん研究センター

この例のように「オメガ3脂肪酸」は様々な研究レポートで注目されています。

幾つか、みてみましょう。

東京大学医学部附属病院のレポートでは

慢性炎症は、がんを含む難治性疾患の病態に悪影響を及ぼすが、その慢性炎症をおさえる抗炎症作用が、オメガ3脂肪酸にある

としています。

国立がん研究センターからは

不安は全死亡率を上昇させる原因の一つ。
がん患者は、つねに「再発」という不安を抱えている。
オメガ3系脂肪酸の摂取によって不安症状が軽減する。

のようなレポートがあがっています。

がんの治癒の邪魔になるような「慢性炎症」や「不安・ストレス」が軽減できるのであれば

オメガ3脂肪酸を意識的にとる価値というのは、十分あるのではないでしょうか。

以下、上記でご紹介したレポートの引用です。

慢性的に遷延する炎症が心血管系疾患をはじめとする様々な難治性疾患(、感染症、自己免疫性疾患、神経変性疾患、老化関連疾患など) の病態に悪影響を及ぼすとの報告が相次いで

(中略)

エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などのomega-3脂肪酸からは抗炎症作用

(中略)

これはomega-3脂肪酸を含む食事(魚油など)を多く摂取する人は、炎症を基盤とする疾患になりにくいとの疫学コホート研究の結果と合致

出典:東京大学医学部付属病院

不安は生活の質や社会機能を低下させ、全死亡率を上昇させる

 (中略)

がん患者

 (中略)

再発不安を抱えている

 (中略)

オメガ3系脂肪酸を摂取した群はオメガ3系脂肪酸を摂取していない群と比較して、不安症状が軽減

出典:国立がん研究センター

私自身は、診断直後から治療中も摂取する油を意識して過ごしました。

そこからの実感としては、(油の効果かは分かりませんが)、少なくとも、慢性炎症の指標であるCPR値(血液検査で判定)が、常に低く抑えられていました。

おわりに

今回は、私ががんを克服するために意識して食べていたものをご紹介してきました。

◇ ◇ ◇

体力的にきつい状況を経験するがん患者にとって、食は、生きる喜びの一つです。

ですから、まずは「楽しんで食べることが一番大切なのではないかと思います。

その上で

食べる量が減り、体力が落ちてしまう治療中は、少ない量でも効率よく栄養の摂取ができるといいのかなと思います。

◇ ◇ ◇

食事一口一口は、薬のような劇的な結果には、つながらないかもしれません。

でも、生きる喜びを噛み締めながら、毎日身体に入れる食事だからこそ、その積み重ねが、がんの治癒に大きく貢献するのではないでしょうか。

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