このブログでは、すい臓がんを完治するまでの、知識と経験を共有していきます
「がんを消す」食事療法?盲信の危険性と、食事の真の意味(私の経験2)
こんにちは、チコです。
2019年2月にがんと診断された私は、がんと食事の関係について調べるようになりました。
そんな中、「がんが消えた」「末期がんを克服した」といった魅力的なタイトルの本を、多く見かけることに。
たくさんの食事療法があるけど、いったいどれが良いの?
私にも効くのだろうか?
今回は、そんな「がんが消えた」と称される食事療法と、私たちにとっての食事の真の意味について考えてみます。
- 『膵がん闘病記シリーズ 』
- 『がんになって変わった食事への気持ち、食習慣(私の経験1) 』
- 「がんを消す」食事療法て何?盲信の危険性を知る(私の経験2)【本記事】
- 『がん治療中の食事の基本(私の経験3) 』
- 『がんを克服するため意識した食べ物(私の経験4) 』
- 『がんは食事療法だけで治るほど単純じゃない(私の経験5) 』
がんを治したい思いから、ドラスティックな食事療法も検討
がんと診断されてからの食事に対する気持ちの変化を、以下の記事でご紹介しました。
診断当初の混乱
上記記事でお伝えしたとおり、診断当初の私は
「食事のせいでがんになったのでは?」という食に対する恐怖を抱くとともに
身動きが取れなくなってしまいます。
そこで、この恐怖を克服しようと、がんと食の関係について調べ始めました。
「がんが消えた」の文字に希望の光を見いだす
インターネット、Amazonの本、あるいは実際の書店に足を運んでは、がんに関する情報や本を読みあさりました。
そこには、がんに良いといわれる食物や食事療法の本が、実にたくさんあることに気が付きます。
余命3ヶ月のがんを克服
がんが消えた
タイトルのこんな文言を目にしては、気持ちがとても軽くなっていったことを強く記憶しています。
そして
そんな数々の魅力的な食事療法に惹かれ、実際にやってみようと、いろいろと検討もしました。
「がんを消す」「末期ガンを克服」とされる食事療法とは
以下、「がんが消えた」「末期がんを克服」とされる食事療法の一例です。
個人的には、(どんな事柄もそうであるように)どの食事療法にも、良い面と悪い面があると思っています。
分類 | 関連する本・サイト |
---|---|
ゲルソン療法 | ・今あるガンが消えていく食事|済陽高穂 ・ガンを食事で治す星野式ゲルソン療法|星野仁彦 |
断食・極小食 | ・断食でがんは治る|鶴見 隆史 ・世にも美しい癌の治し方|ムラキ テルミ |
玄米菜食 | ・ガンは食事で治す|森下 敬一 ・夫のがんを消した 最強の食事|薩摩智恵子 |
薬膳 | ・防がん・抗がんの薬膳|辰巳 洋 ・食べものだけで余命3か月のガンが消えた|高遠 智子 |
ケトン食療法 | ・進行性がん患者で新しいケトン食療法による有望な結果|大阪大学 ・ビタミンDとケトン食 最強のがん治療|古川 健司 |
気になる食事療法があれば、一度試してみるのも手ですが、まずはご体調とよく相談されてください。
もちろん、食事療法など難しく考えず、食べたい物を食べるのもまた一つのやり方だと思います。
各食事療法の特徴はまた別記事でご紹介します。
盲信は危険、極端な食事制限や偏った食事のリスクを知る
がんと診断された当初、前章でリストアップしたような本から栄養学の本まで、いろいろ読んでみました。
誰にでも万能な完全食など存在しない
そうして、最初は多くの情報に触れ、頭の中の整理をしていきました。
・・・
ただその後、冷静になって考えてみると
・・
「この食事療養さえすれば、必ずがんは治る!」なんて夢のような食事は存在しない・・
と思うようになります。
書籍やネット情報で話題になっているものは、確かに良い面もあるのですが
それだけに傾倒・盲信してしまうと別のリスクも出てくるのです。
たとえば、ゲルソン療法って良いことばかりなの?
例えば、ゲルソン療法。
ゲルソン療法:医学博士マックス・ゲルソン(Max Gerson)によって開発された代替的がん食事療法。
がんを促進させると考えられる食品の排除、免疫力を高める自然食品の摂取により、がんを治していこうという考えの食事療法。
ゲルソン療法では、高カリウム・低ナトリウムの食事をとることを目指し、にんじんジュースをたくさん飲みます。
たしかに人参にはカロテンが豊富に含まれ、一見身体に良さそう・・
でも、最近の研究では「βカロテンの過剰摂取が発癌リスクに」という報告もあります。
また、塩分をかなり制限した食事、毎日2〜3リットルもの大量の野菜ジュース、コーヒー浣腸など
この方法は、体力の落ちていく がん患者にとっては、かなり厳しいのではないかと感じました。
たとえば、断食や菜食主義、極端な糖質制限はどお?
同様に、マクロビオティック、断食、糖質制限、菜食主義など、健康に良さそうな情報がネットや書店をにぎわせています。
たしかにある視点から見れば「なるほど、これは良さそう!」と思うところもあるでしょう。
しかし一方でまた、がん患者にとっては、フレイル(衰弱)のきっかけとなるような危険な側面もあるのです。
また、食材1つをとってみても考えさせられる例があります。
糖質制限にも菜食主義にも良さそうな豆腐。
実際、健康に良い食品と言われていますね。
ところが、2020年には「大豆食品摂取量が多いと膵がん罹患リスクが高い」というレポートが発表されました。
私自身、お豆腐料理が大好きで昔から毎日のように食べていたので、ショックでした・・(お豆腐には良い面もあるため今は程々に食べています)
このように、食事・栄養の常識は日々アップデートされ、時には180度変わることさえあるのです。
これらを考えると、多くのストレスを抱えるがん患者とって、極端な食事療法をすることはリスクを伴います。
食事へのストレス。
効果があれば、それも報われるでしょう。でももし実践した食事療法の効果が感じられなければ?
悔しい思いをするだけでは済まないこともあるかもしれません。
じゃあ、どんな食事療法がいいの?
結局、どんな食事療法がいいの?
たくさんの情報の中で、「何を選択しどう食べていけば良いの?」と考えたとき
以下について、考え直すこととなりました。
- 人間にとって食事の真の意味
- がん患者として、限られた時間と労力をどう使うか
食事の真の意味
あらためて食事について考えたとき
今の私にとっての最大の食事の意義は「生きる喜び」でした。
- 今この瞬間、美味しく食べられる喜び
- 明日もまた、心身ともに穏やかに過ごせる喜び
- 10年20年先もまた健康的に活動できる喜び
(先のことは誰も分からないので、妄想ですが、イメージは大切 (^^) )
もちろん、生きる喜び以外にも、食事の意義は、色々ありますね。
たとえば
- とりあえず空腹を満たすため
- 旺盛な食欲を満たすため
- 生きるためのエネルギー源として
- 健康な身体作りの栄養として
- 大切な家族や仲間とのコミュニケーションとして
など・・
これは、人それぞれ、その時々の環境で違ってくるのだろうと思います。
あなたにとって真の食事の意味はなんですか?
時間も労力も限りある希少な資源
もう一つ、食事を見直す、あるいは、新しい食事療法を始めるときに考えたかったことは
どれだけの時間と労力をそこに使えるか、ということでした。
残念ながら、人間の「時間」「労力・エネルギー」には、限りがあります。
それはがん患者だけではない、どんな人にもです。
ただ、がんを患った私たちは、そのことをより強く意識する場面が多いです。
つまり
希少な時間の中で、自分はどれだけ食事ごとに注力できるか
見極める必要があると思いました。
- 難しい事は考えず、好きなものを食べるもよし
- 食生活を見直し、改善をはかってみるもよし
- 「がんが治った」と称される食事療法を試すもよし
もちろん選択は自由。
でも、貴重な時間と労力をつかうのだから
選んだ道に後悔しない覚悟を持つ。
十人十色の食養生でいい、自分なりの食を見つける
こんなふうに
食事の真の意味(生きる喜び)
×
希少な時間と労力の使いかた
を考え合わせていくと
私にとっては、自分ができる範囲で「食養生」をしていくのが一番後悔しない選択肢だと思うようになりました。
食養生:消化や栄養のことなどを考えて、食事によく気をつけること
「がんが治った」と言われるような食事療法を試してみるのも良いかなとも思いました。
でも、どんな食事療法にも、メリット・デメリットがありますし
もともとの食習慣、体質、体力、病気の治療経過や体調など、人それぞれ違うのだから
1つの食事療法を同じように試すのも違う気がします。
十人十色の食養生がある
そして、
私が最終的にたどりついた、治療中の食事 3つの基本がこれ。
- バランス
- 身体の声
- 体力維持
続きは、以下の記事でお伝えします。
おわりに
世の中には、がんの治癒に効果があるといわれているさまざまな食事療法があります。
今回は、いくつかの食事療法に触れるとともに
それらの情報に盲信・傾倒することの危険性や、人間にとっての食事の意味についてお話ししました。
どんなものにもメリット・デメリットがあるとういことを頭の片隅に置きながら
後悔しない選択をしていけたらいいのかなと思います。
- 『膵がん闘病記シリーズ 』
- 『がんになって変わった食事への気持ち、食習慣(私の経験1) 』
- 「がんを消す」食事療法て何?盲信の危険性を知る(私の経験2)【本記事】
- 『がん治療中の食事の基本(私の経験3) 』
- 『がんを克服するため意識した食べ物(私の経験4) 』
- 『がんは食事療法だけで治るほど単純じゃない(私の経験5) 』
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